考察『光る君へ』18話 道兼の死に涙するとは…玉置玲央に拍手を!まひろ(吉高由里子)は人気ないらしい道長(柄本佑)に「今、語る言葉は何もない」
大河ドラマ『光る君へ』 (NHK/日曜夜8:00~)。舞台は平安時代、主人公は『源氏物語」の作者・紫式部。1000年前を生きた女性の手によって光る君=光源氏の物語はどう紡がれていったのか。18話「岐路」では、まひろ(後の紫式部/吉高由里子)の宿怨の相手、藤原道兼(玉置玲央)が、関白の座についてまもなく病に倒れます。ドラマを愛するつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんが各話を毎週考察する大好評連載18回です。
宣孝とまひろ
筑前守を勤めあげて、4年ぶりに宣孝(佐々木蔵之介)が都に戻って来た。そしてまひろ(吉高由里子)をロックオン。 父・為時(岸谷五朗)が若干慌てるほど、はっきりとまひろを女扱いしている、狙っている。この感じだと、国司就任前は憎からず思っていた程度であったのが、4年経っても婿を迎えていないので「これはいける」と思ったのか。 素敵な男性なので想われたら嬉しいと感じる、しかし年の差がかなりあるためにアリかナシかと問われたら「うーん」となってしまう相手に、佐々木蔵之介。キャスティングがとても上手いと思って観ている。しかも宣孝とまひろの場合、幼い頃から見知っている親戚のおじさんという「うーん」要素もプラスされるので、余計に。 「大宰府では(輸入した薬の売買で)ボロ儲けした。国司の旨味を味わいつくしたわ」 国司の赴任先はその地の経済力・面積・人口などを基に大国・上国・中国・下国の四等級に分けられていた。宣孝がいた筑前は上国にあたり、ドラマ内で示された通り、宋(当時の中国)との貿易が活発で豊かであった。 大河ドラマ『平清盛』(2012年)でも、中井貴一演じる平忠盛が日宋貿易で巨万の富を得る経緯が描かれた。 第14話で、道隆(井浦新)の「淡路守か。淡路は下国ゆえ、早く帰りたいのであろう」という台詞があったが、国司が私的な富を築けるか否かは、赴任先によってかなり違っていたらしい。
正論で返す定子
道隆が逝き、空いた関白の座が埋まらない。なぜ一条帝(塩野瑛久)が決めないのかといえば、中宮・定子(高畑充希)が道兼(玉置玲央)でなく伊周(三浦翔平)にと意見しているから……。 実資(秋山竜次)「出すぎ者の中宮だ!」 ついに定子までこう批判されるようになってしまった。 立ち聞きとはいえ一条帝は実資の言葉に重きを置いている。これまでは道隆、そして現在は伊周に気を遣って、実資を傍に呼んで意見を聞くなどはできないために立ち聞きをなさるのだろうか。公卿たちの本音を知りたくてそうなさっているとも考えられる。実資に限って言えば、帝の御前であろうとなかろうと忌憚のない意見を述べるとは思うけれど。 そして、伊周は関白にはできぬと帝からじきじきにお話になる。 「そなたはなんのために入内したのだ」と憤る伊周に 「もっと人望を得られませ。次の関白にふさわしいと思われるために、精進していただきたく思います」 すべて私頼みじゃなく、兄上自身が政治家としてもっと力を尽くしたら? と、正論で返す定子。これくらいは言っていいよ。ていうか、もっと言っていいよ。なんなら暴れてもいいと思う。私が男なら、兄上など蹴散らして自分が関白になり政を行っているわと。