2024年の食品業界、「2ケタ増」ヒットここにあり
コメ不足で「冷凍米飯」「冷凍パスタ」が人気に
「令和のコメ騒動」ともマスコミで喧伝された夏場のコメ不足。スーパーの棚から米がなくなっていき、代わりにパックご飯が置かれる店も出た。その中で、冷凍米飯も伸びた。食品需給研究センターによると、冷凍米飯の1~9月生産量は、前年比8.8%増と大幅増。新米が出回る前の8月14.4%増、9月17.3%増となった。また、コメの代替として冷凍パスタが伸び、ご飯など主食と主菜がセットになった一食完結型のワンプレート商品は上期で30%以上増えた。 例えば、ニッスイの「まんぞくプレート」は、主食の白米のおいしさの評価が高まった。ニップンもご飯が主食の「よくばり御膳」が好調。特にシニア層や男性の客層が多く、和食のセットの人気が高いという。「よくばり御膳」は、ご飯と食材10品目を使用しているバランスの良さも受け入れられている。ワンプレート商品は解凍ムラがなく簡便性が受けており、すでに「コメ不足」というヒットのきっかけが霞む勢いで伸び続けている。 また、冷凍パスタも品質向上から好調。「日清スパ王喫茶店 大盛り」シリーズを新たに追加した日清食品冷凍が市場を上回る2ケタ増を達成した。 冷食関連での注目株はブロッコリーだ。ニチレイフーズは4~9月の冷凍ブロッコリーの販売数量が2ケタ伸長し、冷凍野菜の中で最も取り扱い数量が多い品目になった。昨年秋に発売した「ささみブロッコリー」が、10~11月は前年同期比で2ケタ伸長。1袋(260グラム)でタンパク質が20グラム以上摂取できる点が、健康志向の消費者に刺さった。 コメ不足の一方で、昨年までの鳥インフルエンザの大流行による鶏卵の高騰は、夏ごろまでは収まった(猛暑の影響による産卵数の減少、鳥インフルエンザ再流行などで現在は再び上昇中)。これにより卵を使った簡便商品が復調した。永谷園のナンバーワンブランド「広東風かに玉」は2ケタ増、2番目の「広東風ニラ玉」も伸長、パッケージデザインリニューアルの「中華風肉炒り玉子」は2ケタ伸びた。丸美屋食品工業の「贅を味わう」〈かに玉の素 淡雪仕立て〉も好調だ。