無名の3番手PGからの下剋上 川崎の新星・小針幸也、バスケ人生の転機になった8年前の1試合
川崎ブレイブサンダース・小針幸也インタビュー前編
バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは、今季転換期を迎えている。長年主軸を担ったニック・ファジーカスらがチームを去り、クラブ史上初の外国籍ヘッドコーチとなるロネン・ギンズブルグ氏を招聘。顔ぶれが大きく変わり序盤戦から苦しい戦いが続くものの、そのなかで新たな可能性を感じさせるプレーを見せているのが今季期限付きで加入したPG小針幸也だ。地元・神奈川県の出身。高校までは全国的に無名で、大学卒業後も実業団を経てBリーガーになった異色のキャリアの持ち主でもある。前編ではバスケ選手としてブレイクスルーを果たした、高校時代の1試合について振り返った。(取材・文=青木 美帆) 【動画】「めちゃくちゃ綺麗な人抜かれるな~って思ったら…」 男子バスケ中継に映り話題 客席にいた女性の実際の様子 ◇ ◇ ◇ ロネン・ギンズブルグ新ヘッドコーチの下、リーグ屈指のハイペースバスケを目指す川崎ブレイブサンダースにとって、小針幸也を獲得できたのは大きな幸運だったと言えるだろう。 小針は今季、長崎ヴェルカから期限付き移籍で加入した25歳のポイントガード。学生時代から突出したスピードを武器としており、2022-23シーズン途中から加入した長崎でもその力を存分に発揮。昨季、1試合の平均ポゼッション数(オフェンス数)でB1トップを誇ったチームのスタイルの体現者となっていた。 そして、川崎でもその“速さ”は健在。衝撃的な速さからクラブが名付けた『SONIC BOOM』というキャッチフレーズどおりの目の覚めるようなドリブル突破で、相手チームを混乱させ、見る者を沸かせている。 前述のとおり、小針がBリーグデビューを飾ったのは2022-23シーズン途中(正確には2023年2月)で、それまでは実業団チームで社業に励みながらバスケットボールをしていた。さらに言えば、学生時代も決して輝かしいキャリアを歩んできたわけではない。 叩き上げの雑草プレーヤーは、いかにして国内最高峰カテゴリーにまで上り詰めたのか──。まずは学生時代から紐解いていこう。