70代後半の親が80歳までの医療保険に入ろうかなと言っています。本当に高齢者の医療保険は必要なのでしょうか?
「70代後半の親が民間の医療保険に加入したがっているけど本当に必要?」との悩みを持つ人もいらっしゃるでしょう。高齢者が加入できる医療保険はあるものの、全員に必要であるかというと、そうともかぎりません。 本記事では、70代後半の高齢者の医療費負担がどれくらいか、民間の医療保険に加入する際の注意点には何があるかについて解説します。高齢者が医療保険に加入する際の参考にしてください。
65歳以上の高齢者は高齢者医療制度が利用できる
健康保険や国民健康保険の被保険者である人が75歳に到達すると、後期高齢者医療保険の被保険者となります。収入に応じ医療費負担が70~74歳までは原則2割、75歳以上は原則1割の負担で済むからです。70代後半であれば、民間の医療保険に加入しなくてもよい人もいるでしょう。 高額な医療費がかかった場合でも、自己負担上限額が定められている高額療養費制度を利用できます。70歳以上の高額療養費自己負担額について、図表1で見ていきましょう。
注)年収は単身世帯をモデルに計算したもの。年収(収入基準に該当するかどうか)について、一定以上所得者は「年金収入+その他の合計所得金額」で判定。 一般の年収は、課税所得のある子どもなどと同居していない場合は「155万円超」、同居している場合は「155万円以下」も含む。 ・多数回該当:直近12ヶ月間に高額療養費の対象が3回以上の場合、4回目以降はさらに自己負担限度額が引き下がる特例制度 ・負担増加額:2割負担となる方に対する負担軽減の配慮措置として、病院などの窓口で支払う上限額が1ヶ月あたり3000円までとなる(入院の医療費は対象外) ※厚生労働省「医療費の自己負担について」をもとに筆者作成 収入に応じて月の自己負担額をおさえられるため、無理に民間の医療保険に加入する必要はないといえます。
70代後半で医療保険が必要な人
公的医療保険には高齢者医療制度や高額療養費制度があり、患者の自己負担額はある程度おさえられます。しかし公的な医療保険だけではまかなえない部分もあり、民間の医療保険に加入するとよい人もいます。 本項では、医療保険に加入したほうがよい人の特徴を説明します。70代後半の親が民間の医療保険に加入すべきか迷っている際は、参考にしてください。 ◆医療費を払える貯蓄がない 高齢者は、医療費がかかる傾向にあります。特に長期の入院や手術となると、高齢者医療制度や高額療養費制度があっても、ある程度のまとまったお金は必要になります。そのときに十分な貯蓄がなく医療費を払うことが難しいということにならないよう、医療保険に加入して備えておくとよいでしょう。 ◆公的医療保険が適用されない治療を望んでいる 治療にかかわる以下の費用は、公的医療保険の適用外です。 ・入院時の差額ベッド代 ・がん治療などで用いられる先進医療 ・治療費以外の入院にかかわる費用(食事代、パジャマやおむつなどの日用品代、など) 「入院するなら個室がよい」「先進医療でのがん治療を希望する」といった場合は、民間の医療保険に加入することで保障を受けられます。