【闘病】日々のダルさ・眠気は「重症筋無力症」のせいだった… 夕方以降に出る疲れの正体
仕事や家事などで疲れていると、「ちょっと横になりたい」と思うことはあるのではないでしょうか? 話を聞いたM・Iさん(仮称)も、初めは急な眠気と体のだるさを感じたそうです。 【イラスト解説】自己免疫疾患を発症する原因と症状 しかし、この状況が4カ月続いたことから病院を受診したところ、重症筋無力症と診断されました。眠気やだるさはただの疲れではなかったということです。M・Iさんの経験を通して、ぜひ重症筋無力症のことを知ってください。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年6月取材。
急な眠気と体のだるさは、“ただの疲れ”ではなかった
編集部: まず初めに、M・Iさんが抱えていらっしゃる疾患「重症筋無力症」について教えてください。 M・Iさん: 神経と筋肉の間で起こる障害で、筋肉がすぐに疲れて体に力が入らなくなります。筋肉の力が弱くなって、身体が疲れやすくなります。 指定難病の1つとされていて、日本ではおよそ3万人いると言われています。症状にはタイプがあり、私は身体に力を入れた状態がうまく保てなくなる「全身型」です。 編集部: 人によって違いが見られるのですね。 M・Iさん: 昨日は元気で体調が良くても、今日は身体を動かすことがつらくなってしまったり、その日の朝は元気でも、夕方以降に身体が疲れてしまい動けなくなってしまったりと、症状の現れ方に波があります。 同じ疾患でも、補助具なしで健康な方と同じように歩ける人もいれば、杖や車椅子を使用しないと生活できない人もいて、個人差が大きいようです。 編集部: 具体的な症状を教えてもらえますか? M・Iさん: 眼瞼下垂(目を開けていると瞼が勝手に下がってくる)、複視(物が二重に見える)、筋力低下(腕や足の力を保てずすぐ疲れてしまう、頭や背中が重いと感じ、同じ姿勢を長時間保つのが難しい)、嚥下・咀嚼障害(食べているときに、顎が疲れてくる。食べ物を飲み込みづらくなったりむせやすくなったりする)、構音障害(声量を保てなくなる、ろれつが回らなくなる)などがあります。 編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 M・Iさん: 2022年の10月頃から、お昼頃に急な眠気と体のだるさがあり、布団で横になる日が多くなりました。 最初は「仕事で疲れがたまっているのかな?」と思っていたのですが、4カ月近くこういった状態が続いていたため「おかしい……」と思い、脳神経内科を受診し、先生に症状を伝えました。 編集部: なぜ脳神経内科を受診したのでしょうか? M・Iさん: 17歳の時にバセドウ病になり、その症状である眼球突出や眼瞼下垂を専門に診てくれていた病院が脳神経内科だったのですが、「念のため、重症筋無力症の検査をしてみましょう」と言われ、一通り検査をしたことがあったのです。 その時は「疑いなし」と言われたのですが、その時のことを思い出して、脳神経内科を受診したというわけです。 編集部: 受診して、どのような検査を行なったのでしょうか? M・Iさん: MRI検査・嚥下機能検査・呼吸機能検査・アイステスト・血液検査・神経伝導検査・胸部X線検査・髄液検査など複数の検査を受け、私の場合は嚥下機能と呼吸機能が同年代の平均に比べて低いこと、血液検査で抗アセチルコリン受容体抗体が陽性だったこと、神経伝導検査で左肘の神経の反応が全くなかったことから「重症筋無力症(全身型)」と診断されました。 編集部: 診断がついたときの心境を聞かせてもらえますか? M・Iさん: 「やっぱりか」と思いました。それと同時にホッとしました。数カ月悩んでいた眠気や体のだるさに説明がついたからです。 「特に問題ないですね」と先生に言われていたら、「じゃあ、私が単に疲れやすい体なだけなの?」とさらに悩んでしまっていたかもしれません。