「米中対立は激化必至 習政権に解見つからず」 柯隆・東京財団政策研究所主席研究員インタビュー
トランプ米次期政権の中国への影響などについて、東京財団政策研究所の柯隆・主席研究員に聞いた。(聞き手:安藤大介/村田晋一郎・編集部) ── 米中対立の展望は。 ■必ず対立が激しくなる。関税については、「一気に60%課す」ということでは米国がもたない。10%ずつ段階的に上げていく可能性が高いだろう。ピンポイントでハイテク企業に対する政策も発動するだろう。ドローンや半導体メーカーが対象になる。EV(電気自動車)は、米国にとって本来それほどの脅威ではないが、BYDなどを対象とする可能性が高い。 ── トランプ氏はディールを重視する。 ■トランプ氏は「私は習近平氏の友達だ」と言ったというが、だから対中制裁をしないという選択肢はない。「米国ファースト」を実現するための最大の障壁は中国だ。トランプ氏は相手の弱みを握るのが得意だ。経済が悪く、社会不安も深刻化する中、トランプ氏は絶対譲歩しない。習近平氏も関係構築を模索するだろうが、簡単な作業ではない。 ── トランプ氏は製造業の国内回帰を訴えるラトニック氏を商務長官に指名するなど、人事面からも強硬姿勢がうかがえる。 ■トランプ氏は古い世代の人で、「この産業を買収されるのは許せない」というのがある。そういう点でBYDが不注意だったと思うのは、米国でピックアップトラックを販売するという判断をしていることだ。ピックアップトラックは米国のシンボルのようなところがあり、かつてトヨタ自動車が売り出した際にも相当のロビー活動を行った。BYDが本腰を入れたら、必ず潰されるだろう。 ◇ノーベル平和賞がカギ握る? ── 安全保障面では対中強硬姿勢のルビオ氏を国務長官に選んだ。 ■中国にとって一番嫌なのはルビオ氏だ。両親がキューバ出身で共産党や社会主義への理解は深いものがある。今のブリンケン国務長官は、少々のことでも我慢して相手のメンツを立てるようなところがあるが、ルビオ氏ではそういうことはありえない。