「米中対立は激化必至 習政権に解見つからず」 柯隆・東京財団政策研究所主席研究員インタビュー
── 中国側の対応は。 ■すでに「(敵に牙をむく)戦狼外交」は取り下げ、「(友好的な)パンダ外交」に切り替えてきている。王毅外相もかつてのような硬直的な話し方は今していないが、ルビオ氏とまともに会話ができないだろう。中国はこれまで米財界の大物に接触し、ロビー活動をしてもらうのが伝統的な外交だった。だが、かつて頼っていたキッシンジャー元国務長官らは死去し、人脈外交はきかない。米国産の農作物やボーイングの航空機を購入するような手法でも、トランプ氏が態度を軟化させることは考えにくい。解が見つからない。 ── 緊張を緩和させる手段は。 ■あり得ないような話だが、トランプ氏がウクライナ戦争を止めることができれば、ノーベル平和賞を取る可能性があり、それがカギになるかもしれない。ウクライナ戦争を止めるキーパーソンの一人は実は習近平氏だ。ロシアに兵士を送り込んだ北朝鮮の後ろには中国がいる。貿易摩擦回避とウクライナ戦争終結のディールについて習氏が協力するとは考えにくいが、トランプ氏は独特の手法を使うかもしれない。 柯隆(か・りゅう) 1963年中国・南京市生まれ。88年来日、94年名古屋大大学院修士課程修了。専門は開発経済、中国のマクロ経済。長銀総合研究所、富士通総研勤務を経て現職。著書に『中国不動産バブル』(文春新書)など。