八百長に賄賂、バブル崩壊で「習近平」W杯優勝の野望も無惨…中国サッカーはなぜこんなに弱いのか
問題点は「金と汚職」「不動産サッカー」
それにしても、中国代表はいつからこんなに弱くなってしまったのか。日本代表は1993年のJリーグ発足を契機として、30年間にわたり実力を高めてきた。実は中国のプロリーグも1994年発足で、その歴史は日本とほぼ変わらない。が、実力差は開くばかりだ。 2012年にサッカー好きの習近平氏が総書記に就任すると、国を挙げての強化体制が導入された。象徴的な動きとして挙げられるのが、日本の部活動をモデルにサッカー特色学校を作るというもの。若年層のプレイヤー人口を増やす狙いで、現在5734校が指定されている。「2025年までに5万校」という目標にはほど遠いとはいえ、それでも中国全土で相当数の高校生がサッカーに取り組んでいるわけだが、現時点では効果が上がっている気配はない。 中国のサッカーファンに言わせると、問題点は「金と汚職」なのだとか。まず、金についてだが、中国経済が爆発的な成長を続けるなかで、知名度をあげたい企業が大金を払って中国のサッカーチームとスポンサー契約を交わし、選手の年俸も高騰していた。特に2010年代には金満不動産デベロッパーが台頭。不動産危機の引き金を引いた恒大集団を筆頭に富力、緑地、華夏幸福、佳兆業といった名だたる不動産デベロッパーが続々と参入している。2020年時点ではトップリーグ所属の16チーム中、15チームのスポンサーが不動産関連だった。「不動産サッカー」といわれたゆえんだ。 その金満パワーによって選手の年俸も高騰。2019年の選手の平均給与は、実に121万ドル(約1億8000万円)にまで上昇したのだ。さらに世界的な外国人選手も続々と加入。元ブラジル代表のオスカルは2017年に英プレミアリーグから中国に移籍したが、その年俸は2000万英ポンド(約39億円)、当時としては世界一だったという。 金があるのは悪い話ではないはずだが、問題は中国での成功で満足してしまい、海外志向がなくなってしまうことにあるという。若い選手が次々と欧州のトップリーグに挑戦し、代表のレベルを引き上げている日本とは好対照だ。しかも、不動産危機に伴って中国サッカーのバブルは崩壊。金欠に苦しむチームばかりとなった。とはいえ、海外移籍する中国人選手が増えれば、中国代表の実力の底上げにつながるという考え方もある。その意味で、中国代表の足かせが一つ外れたと喜ぶべきなのかもしれない。