新田守男/高木真一コンビ14年ぶり、再結成後初の表彰台は喜びと悔しさ「セーフティカーがなければぶっちぎっていたよ!」
10月20日に大分県のオートポリスで開催された2024スーパーGT第7戦のGT300クラス決勝レースでは、新田守男/高木真一組のK-tunes RC F GT3が3位表彰台を獲得した。GT300きっての名コンビふたりが表彰台に上がるのは実に14年ぶりで、2022年からの再結成後では初めてのこと。レース直後、やや興奮気味なふたりに話を聞いた。 【写真】D’station Vantage GT3をオーバーテイクしてGT300クラストップを走行するK-tunes RC F GT3 1999年第2戦からモモコルセ・アペックスMR2で初めてのコンビを組んだ新田と高木は、その後もスーパーオートバックス・アペックスMR-S、ARTAガライヤ、TOY STORY Racing MR-S、ふたたびARTAガライヤと、2010年までコンビを組んだ。 その12年間に数多くの優勝やチャンピオンを獲得する活躍をみせたふたりは、2022年に当時新田が55歳、高木が52歳という超ベテランコンビとしてK-tunes RC F GT3で復活。2023年第6戦ではポールポジションこそ掴んだものの、決勝での最上位は5位止まりで、表彰台は獲得できていなかった。 迎えた2024スーパーGT第7戦オートポリスは、急きょ予選と決勝がワンデー開催となった。決勝第1スティントの高木は「ぶっつけ本番のなか、今までのデータをもとにチームが良いクルマを、ダンロップさんが良いタイヤを用意してくれました。あとは『決勝でコンディションに合うといいね』という状況でスタートしてみたら『あれ? みんな辛そうだけど、俺はけっこう速いぞ!』という感じでしたね(笑)」と笑顔でレースを振り返る。 その言葉どおり、4番グリッドの高木は早々に3番手に順位を上げるとハイペースを維持して2番手にポジションアップ。12周目にはトップのD’station Vantage GT3を3コーナーへの飛び込みでオーバーテイクし、クラストップに立った。 「『ちょっと抜かさせてもらえるかな~』と思っていたら意外にうまく追い抜くことができました。第1スティントは新田さんに繋げるためのテスト走行でもありましたけど、トップに立ったからには、タイヤがなくなるまで全開でしたね。いろいろと試行錯誤しながらの走行でしたけど、そのなかでもライバルより速いペースだったので『これは何もなければ表彰台にいけるぞ』とは思っていました」 20周過ぎには40秒以上の差を2番手につけて独走状態を築いた高木だったが、22周目にGT500クラスの車両ストップの影響でセーフティカー(SC)が導入されたため、そのギャップを失ってしまう。さらにこのSC導入で間隔がリセットされたことで、早めにピットインしていたライバルに先行される不運が発生する。 「今日はSCが入っていなかったらぶっちぎっていましたよ! 最初のスティントでの差を聞いたときは『表彰台どころか勝てるのでは!?』と思っていたけど、せっかく築いた差がSCでゼロになってしまって『何なんだよ~』というレースでした」 そんな状況で高木はトップをキープしたまま33周目にピットイン。交代した新田は「ちょうどピットのタイミングが混雑していて遅れてしまったのと、コースに出たときも集団の後方に戻ってしまいました。また、タイヤがピックアップしてしまったことでペースを上げることが難しかったです」と、第1スティントから一転して苦戦を強いられる。 その後第3スティントでふたたび高木が乗り込んだK-tunes RC F GT3は、4回のSC導入でペースの良さを出すことができないまま4番手でレース終盤を迎える。しかし残り20分で前を走るUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIがピットインすると3番手にポジションアップ。そのままSC先導チェッカーで3位フィニッシュを飾った。 新田/高木コンビにとって再結成後初めての表彰台は、K-tunes Racingにとって3年ぶりで、ふたりがコンビ揃って表彰台に上がるのは2010年第6戦鈴鹿以来、実に14年ぶり。そのことをまず新田に聞くと「そうなんですよね! なかなかいろいろと苦労することもありましたけど、何とか表彰台を獲ることができました」と安堵の表情をみせる。 「本当は優勝したかったですけど、なかなかうまい具合にはいきませんね(苦笑)。現代のスーパーGTはピットタイミングもハマらないとなかなか優勝することができません。でも、今回はまず表彰台をふたりで獲得することができたので良かったです」 一方の高木は「新田さんと僕は優勝記録を争っていて(新田22勝、高木21勝)、お互いに記録を伸ばしたいということを言っていました。レース中には『もしかしたら今日は記録更新できちゃうかも』と思いましたが、そこまで甘くはなかったですね」と語る。 「本当はいちばんを獲りたかったな~。でも、ここまで役目を果たせていなかった感があるので、表彰台に上がることができて少しホッとしています。本当にようやくの表彰台なので『お待たせしました』という思いです」 高木は「次戦以降も優勝を目指して頑張りたい」と続けた。好成績はサクセスウエイトの軽さも影響したとのことだが、ひさびさに新田/高木の大ベテランコンビの笑顔をみることができただけに、残り2戦でも“おじさんパワー”で上位を争ってほしいところだ。 [オートスポーツweb 2024年10月25日]