新将棋会館に藤井聡太八冠陥落 囲碁は世界制覇 2025年は初の女性棋士誕生か?
日本将棋連盟創立100周年となった2024年は、将棋界では藤井聡太八冠陥落や新将棋会館のお披露目など、さまざまなニュースがありました。国際的な活躍もあった囲碁界も含め、担当記者が振り返ります。 (社会部・囲碁将棋担当 内田慧)
■八冠陥落“藤井を泣かせた男”
2023年10月に前人未到の八冠を達成した藤井聡太七冠。2024年はタイトル独占を崩す挑戦者が現れるのか注目された。 これまで、タイトルを逃したことはなく、2024年も王将、棋王、名人と防衛し、タイトル戦連覇記録を過去最多の22まで伸ばした。そこに土をつけたのは、同い年の“藤井を泣かせた男”伊藤匠叡王だった。それは藤井七冠の背中を追い続けた男の3度目の挑戦のことだった。
■追い続けた背中
藤井七冠と伊藤叡王との初めての対局は、小学校3年生の時の大会だ。結果は伊藤叡王の勝利で、藤井七冠は泣いて悔しがったという。伊藤叡王と同じ道場に通っていた、この大会の優勝者・川島滉生さんは「たっくん(伊藤叡王)が、藤井さんのことを“とても強い人がいる”と言っていた。たっくんが人のことを強いというのを聞いたことがなかった。言うんだと思った」と印象に残っているという。
その後、藤井七冠は史上最年少でプロデビューを果たし、同じくプロを目指していた伊藤叡王は何度も記録係を務めた。目の前で同世代の活躍を目にする勝負師の心境は想像に難くない。伊藤叡王はある日、師匠の宮田利男八段に高校を中退したことを告げた。退路を断って、将棋で生きていくと決めた。 そして、2020年に伊藤叡王は17歳でプロ入りを果たすと、新人王の獲得、年間最高勝率、当時王座だった永瀬拓矢九段を破るなど、めきめきと頭角を現す。
そして2023年、竜王戦という将棋界最高峰の戦いで、伊藤叡王は初のタイトル挑戦を果たす。第1局当時の2人あわせて41歳という同学年の史上最年少対決は大きな話題となった。結果は伊藤叡王のストレート負けで、藤井七冠は伊藤叡王を全く寄せ付けなかった。 そして、棋王戦で再び挑戦権を獲得した。タイトル奪取はならなかったものの、第1局で伊藤叡王はお互いに詰みの可能性がなくなる“持将棋”を目指して引き分けにし、不利とされる後手番をしのいだ。その後の、先手番をものにできず、藤井七冠に棋王の防衛を許した。