新将棋会館に藤井聡太八冠陥落 囲碁は世界制覇 2025年は初の女性棋士誕生か?
伊藤叡王は叡王戦で、さらに挑戦権を獲得した。藤井七冠への3度目のタイトル戦では最終局までもつれ込んだ末、伊藤叡王がタイトルを奪取。藤井七冠のタイトル独占を崩した。
意外にも、伊藤叡王は自分がライバルだという認識はないという。タイトル獲得後も「まだまだ自分のほうが実力が不足している」と語っている。「ずっと藤井さんを追いかけて、ここまでこれた。藤井さんがいなかったら、タイトルは取れなかったと思う。藤井さんのおかげで、こういう舞台に上がることができている」。タイトル戦という最高の舞台で藤井七冠を破った伊藤叡王から出た言葉は、藤井七冠への感謝の言葉だった。 藤井七冠は、その後の防衛戦で七冠を堅守。棋聖戦と王位戦では永世称号の資格も最年少で獲得した。2024年の対局について藤井七冠は、結果は振るわなかったが、長く戦い続けるために作戦の幅を広げようとしたと振り返っている。 藤井七冠は2025年、再び伊藤叡王への挑戦権をかけて戦い始める。藤井七冠の2度目のタイトル独占がかかった伊藤叡王との戦いを見ることができるのか。その前には藤井七冠が持っているタイトルの防衛戦もある。2025年、最初のタイトル戦は王将戦七番勝負。第1局は1月12日と13日に静岡県掛川市で行われる。
■初の女性棋士誕生か
これまで女性で棋士になった人はいない。女性が対局をしている様子を見たことがあるかと思うが、それは女流棋士という、棋士とは別の立場にある人たちだ。 通常、棋士養成機関「奨励会」に入会し、原則26歳までに四段に昇段すれば、棋士となることができる。三段に上がると半年に1度行われるリーグ戦で上位2人は無条件に昇段することができるが、全国から集まった天才たちの夢を砕く最後の関門を、人は「地獄の三段リーグ」とも呼ぶ。 西山朋佳女流三冠は、奨励会で三段まで昇段し、3位につくことはできたが、昇段することはかなわず、女流棋士に転向していた。 これまで三段リーグを突破して、棋士となった女性はいないが、棋士となるには、もう一つの仕組みがある。それが棋士編入試験だ。プロ公式戦において、棋士に対し10勝以上し、6割5分以上の勝率を収めたアマチュアや女流棋士に受験資格が与えられる。 西山女流三冠は2024年7月の対局に勝利し、受験資格を獲得、その日のうちに受験の意向を示した。試験は若手棋士5人を相手に月に1度対局を行い、3勝すれば合格となる五番勝負だ。 この棋士編入試験制度の受験は西山女流三冠で5人目だ。これまで3人がプロ入りし、女性では2022年に初めて福間(旧姓里見)香奈女流五冠が受験したが、3連敗し不合格となっていた。 9月の第1局で勝利したものの、第2局、第3局と連敗し、西山女流三冠は追い込まれた。そして、12月の第4局では勝って、踏みとどまり、成績を2勝2敗にし、女性初の棋士誕生まであと1勝とした。 2025年に初めて女性棋士の誕生となるのか、西山女流三冠は運命の最終局に向け「大一番、泣いても笑っても最後。悔いのないように挑みたい」と語っている。