精彩欠く女子バレー“中田ジャパン”は1次リーグを突破することができるのか…31日に絶対に負けられない韓国戦
植田氏がポイントとして挙げたのは第2セットに9-9と同点に追いついた場面。流れを変えるチャンスだったが、レセプションが乱れ4連続失点して、このセットの主導権を手放している。 「ミドルのジャンプフローターサーブに苦しめられた。元々レセプションには不安のあったチームだが、大事な局面で崩れた。ブラジルは、ほぼ全員がジャンプフローターから強いサーブを打ってくるが、日本は、そのほとんどにアンダーレシーブで対応していた。ジャンプフローターに対する世界のレセプションの主流はオーバーでの対応。そこを日本はできていなかった」 ただ何の抵抗もせずに敗れたわけではない。第3セットに見せ場は作った。中田監督はスタートから黒後愛に代えて林、セッターの籾井あきに代え田代佳奈美、ミドルも島村春世に代え奥村麻依を投入してリズムを変え、序盤から林、石川真佑らのスパイクでリードを奪った。途中、ブラジルの“司令塔”であるセッターのカルネイロが右足首を痛めて退場。さらなる追い風が日本に吹き、15-12となったところで、この試合で初めてブラジル側がタイムアウトを取るほど、強豪を追い詰めたが“詰め”のところでミスが出た。 またレセプションが崩れ、石井優希がスパイクをミス。20-20の同点にされ、続けて石井のスパイクをカロリネにブロックで止められ勝ち越された。再び21-21と追いつくが、今度は石川がスパイクを止められ、続いて大きくコートを外す。「ごめん」とコートで謝った男子バレー代表キャプテン石川祐希の妹の“小さなエース”石川が、セットカウントを奪われた後に執念の連続得点でデュースに持ち込んだが、カブリエラに豪快なスパイクを連続で決められ最後は力負けした。 「あと1点というところで勝てないというところがすごく悔しいですし、もうちょっと、もうちょっとが、積み重なった」 キャプテンの“ママさんプレーヤー”荒木絵里香は、試合後、この第3セットを悔やんだ。だが、彼女がコート上で感じた以上の力の差はあった。 植田氏は「16」もあった被ブロック数を問題視した。 「ミスやラリー、苦しい展開のときこそクイックを中心にした攻撃が効果的なのだが、すべてのセットにおいてコンビネーションが機能していなかった。アナリストからデータは入っているはずだが、コート内外での具体的なコミュニケーションが取られているようには見えず、攻撃パターンが偏ってしまっていた」 一方の日本のブロックが決まったのは第1セットの2本だけ。日本のVリーグでも活躍したこともある35歳のベテランのガライらに面白いようにパイプ攻撃を許した。 「ブロックはセット平均がブラジルが5.2本で日本は0.67。いくら林選手がアタックを決めてもブロックとディグが機能しないと苦しい。日本のブロックはパイプへの意識が薄かった。どれくらいアジャストして間隔をどうとっているのか。半歩か、もう一歩か…細かいアジャストができていたかどうかも疑問。映像でコート上の声が拾われていたが、後ろのディフェンスとの連携ができているような声もあまり聞こえなかった」と植田氏は言う。 そして完敗の中、日本が突き付けられたのは、「歴然としたフィジカルの差を感じた」と、植田氏が指摘する“永遠のテーマ”だ。