和田秀樹が解説「脳が衰える習慣・活性化する習慣」 試練が訪れやすい高齢者こそ楽天主義を徹底
社会心理学の実験でわかったことですが、疑い深い人は、意外にも騙されやすくなる傾向があります。マイナス思考の人は、基本的に「他人はすべて悪」という考え方を持っているため、誰が詐欺師なのかを見抜けないためです。 ■高齢者の方こそ、楽天主義を徹底すべき 一方、日頃から楽観的に物事をとらえ、「基本的に世の中は生きやすく、他人は優しいもの」と思っている人は、不審な点がある人物に対し、かえって違和感を抱きやすく、詐欺被害にも遭いづらくなるのだと言います。
このように、後ろ向きな思いにとらわれることは、洞察力や観察力を低下させるという弊害もあるのです。 私は、人生のさまざまな試練が訪れやすい高齢者の方こそ、楽天主義を徹底すべきだと思っています。物事の一面しか見ない「単眼思考」はうつ病にもつながりやすくなりますから、さまざまなものの見方ができる「複眼思考」も心がけたいものです。 ぜひ、光のほうに目を向けて、明るく物事をとらえるようにしてみてください。「自分にはあれも、これもある」と足し算思考ができる幸せ探しの名人は、脳も心も、みるみる元気になっていきます。
和田 秀樹 :精神科医