和田秀樹が解説「脳が衰える習慣・活性化する習慣」 試練が訪れやすい高齢者こそ楽天主義を徹底
何事にもそのような軽やかなスタンスで向き合えるようになると、脳が喜んでフル回転するだけでなく、人生の選択肢や幅も広がっていきます。 好奇心の強さや「なんでもやってみよう」と思える身軽さは、脳の老化を遅らせますし、物事の成功の確率も高めてくれます。とにかく、どんなことでもまずは挑戦してみようとする軽やかさが大切なのだと思います。 ■「コンビニの父」の発想 セブン&アイ・ホールディングスの元会長であり「コンビニの父」と呼ばれる鈴木敏文さんは、「何事も試してみなければわからない」という発想のもと、経営に当たっていました。
たとえば、一般的にはおでんは、秋冬に売られる商品というイメージが強いと思います。そのようななか、鈴木氏が、「試してみなければわからない」と暑い時期のおでんの売れ行きについての検証に乗り出した結果、夏でも気温(室温)25℃以下の日は、みな「今日は寒い」という感覚になるため、おでんがよく売れることがわかったそうです(『データサイエンティストを超える仕事術 鈴木敏文の統計心理学 新装版』参考)。 さらに鈴木氏は、「コンドームを棚の上の方に置いたときと下の方に置いたときとで売れ行きが変わるかもしれない」という仮説を思いつけば、全店舗でそれを試しています。その結果、コンドームは低い位置にある方が売れることが判明したそうです。
彼のこういった行動力と実験的な思考こそが、現在でもセブン&アイ・ホールディングスがコンビニ業界でトップを走り続けている理由と言えるのではないでしょうか。 トヨタについても同様です。同社の工場では、「カイゼン」を合言葉に、「この作業台を3センチ高くすれば作業効率が上がるのでは?」という仮説に基づく検証が、日々繰り返されています。 トヨタにも、何事もやってみなければわからないという企業風土があるのです。これが、同社が世界で活躍し続ける強さの理由の一つと言えるでしょう。