和田秀樹が解説「脳が衰える習慣・活性化する習慣」 試練が訪れやすい高齢者こそ楽天主義を徹底
人生は毎日が実験です。はじめから結果がわかっていたら面白くないし、どうなるかわからないからこそドラマに満ちているのでしょう。まずは何事もやってみる、そんな精神で、脳と心を若々しく保ちたいものです。 ■疑い深い人ほど騙されやすくなるのはなぜか 先のページで触れた「トラブルを楽しむ」にも通じますが、とにかく、物事を前向きにとらえるということは、脳の若さ、賢さにも大いに影響をもたらします。 前頭葉の特徴の一つに、「快の体験」を好むというものがあります。つまり、わくわくと楽しい気持ちでいるほどに、脳は活発に働き、頭がよくなっていくということです。
反対に言えば、後ろ向きな思いにとらわれ、うつむきがちに人生を送るほどに、脳の働きはしぼんでいってしまうということです。ミスやトラブルをいつまでも引きずってくよくよしたり、後悔したり、そんなマイナス思考のままでいては、前頭葉は錆びつき、衰えていってしまいます。 いったんネガティブな感情にとらわれると、人は自分の不足した部分にばかり目を向けるようになり、欠乏感でいっぱいになってしまうものです。 そういう時は、「角度を変えて考えてみる」ようにしてください。今がどんな状況だったとしても、あなたは多くの宝物を持っているはずですし、これからできることだってたくさんあるはずです。ですからなるべく物事の明るい面を見つめ、楽観的に生きるようにしたいものです。
たとえば、なにか新しいことに挑戦して、思わしくない結果に終わったとします。 そのときは失敗した自分を責めるのではなく、「新しい一歩を踏み出せたなんて、なかなかのものだ」と自分自身を褒め、気持ちを高揚させるのです。 このように「自分で自分を励ます」ことを習慣として持っている人は、脳やメンタルにとって理想的な環境を作り出せることはもちろん、士気高く物事に取り組めるので、結果的にいろいろなことがうまくいきやすくなるでしょう。