阪神・佐藤輝明の実りの秋 守備向上のポイントのひとつは「下からボールを見る」
【球界ここだけの話】押しも押されもせぬスターが、昼夜の寒暖差が激しい高知・安芸で熱く、必死にボールを追っている。来季5年目を迎える佐藤輝明内野手(25)が、初めて秋季キャンプ全日程に帯同する予定だ。課題の一つは三塁の守備。11月8日の第2クール2日目には早くも今キャンプ5度目の特守を行った。 「やっぱり全部の動作をスムーズに行えるように、送球までをきっちりできるようにですね」 第1クールでは横からトスされたボールを田中内野守備走塁コーチが左打ち、右打ちでスイングする形。より実戦仕様の強い打球が容赦なく降り注ぐ中、何度も打球に飛びつき、食らいついた。第2クールではより基礎的な動作の反復練習が続く。丁寧な動作で打球を処理し、足腰に負荷をかけながらどんどんボールをさばいていった。 今季は両リーグ最多の23失策と苦しんだ中でも、2軍落ちを命じられた際は田中コーチと2人で守備練習に励むなど、向上心を絶やさずに汗を流してきた。再昇格後に聞いた、守備力アップに向けたキーワードがある。 「下からボールを見る意識、ですかね」 下からボールを見る。安芸での練習後に聞いた際も「それは今も意識していますね」と語っていた。本人の言葉で説明すれば「ボールに対して目線のぶれをできるだけ少なくしたい。そうすれば捕球も安定すると思う」となる。瞬間的に飛んでくる打球に対して、目線を低く保つ姿勢で常に準備し、見える打球と動かす体のイメージを合わせていく。立冬が過ぎた安芸の日差しを浴びながら、〝下からボールを見る〟意識を染み込ませていく。 練習を見守る田中コーチも「すごく明るく取り組んでいると思う。前向きだなって感じる」と、その並々ならぬやる気に目を見張る。努力の過程に全霊をそそぎながら、輝く姿を見せるべく来季に備える。(邨田直人)