サラダは1皿ごと、メインは配膳……「新しい形」模索するビュッフェ【#コロナとどう暮らす】
2月末、新型コロナウイルスの感染拡大事例があったとして政府が指摘した業態の1つがビュッフェ形式の飲食提供です。これを受けて、各店ではビュッフェの休止、もしくはサービス内容の変更が相次ぎました。緊急事態宣言の解除を経て営業を再開する店舗が増える中、「これまで通り」ではなく、感染予防のための工夫を施したスタイルを模索する動きが出ています。ウィズコロナ時代、ビュッフェはどのような形になっていくのでしょうか?
ココス、「宣言」解除受け朝食バイキング再開
ファミリーレストラン「ココス」は3月4日から朝食バイキングを提供していた全国の224店舗で同サービスを休止しました。(詳しくは関連記事「ジム臨時休業、ビュッフェ休止…… 新型コロナに苦悩する業界」を参照) その後ココスは、緊急事態宣言が5月25日に全都道府県で解除されてから5日後の同30日、従来朝食バイキングを提供していたほぼ全店(223店)で同サービスを再開。ココスを傘下に持つゼンショーホールディングスの広報担当者によると、(1)国の緊急事態宣言が全都道府県で解除された(2)客からの再開要望が相次いだ(3)新型コロナウイルスの感染拡大防止策が整った――ことから再開を決めたそうです。 再開後、朝食バイキングコーナーには、客用のアルコール消毒液を常備するとともに使い捨てのビニール手袋も用意。客は手指の消毒後、ビニール手袋を着けてトングで料理を盛り付ける形式にしました。トングや、汁物を入れるレードル(おたま)は30分おきに交換しています。こうした接触感染対策のほか、飛沫感染対策として、従業員にはマスクの着用を義務付け、客にもマスク着用への協力を呼び掛けています。朝食バイキングの再開は、客からも好評とのことです。
トングが消えた店も
客が自らトングなどで取り分ける形式をなくした店舗もあります。ホテル日航大阪のカフェレストラン「セリーナ」です。 同店では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ビュッフェの提供を休止(店自体は営業)。6月20日にビュッフェを再開しましたが、前菜・サラダ・デザートはあらかじめスタッフが一皿ごとに盛り付けてビュッフェコーナーに並べ、客が好みの皿を選ぶ形式に。肉や魚介類の料理などのメインディッシュは一皿目をスタッフが客席に配膳し、おかわりはワゴンに乗せて届けるサービスに変更しました。 「好みの品を好きなだけ食べられるビュッフェ形式に魅力を感じているお客様が多く、感染拡大を防ぎつつ、ビュッフェを何らかの形で再開できないかということで工夫した結果です」と広報担当者。メインディッシュの提供形式は、焼き立ての品を提供するためとのこと。来店客からは「従来よりも座っている時間が長いので、ゆっくりと料理を楽しめる」「トングを使わないので安心」と評価する声も出ているそうです。 ただ、広報担当者は「具体的な数字は言えませんが、来店されるお客様の数はまだ感染拡大前のレベルには戻っていません」とも。「何よりも安心してご利用いただけることが大事です。今後も感染拡大防止策にきちんと取り組みつつ、ビュッフェのスタイルや料理の中身に試行錯誤を重ねて、よりご満足いただけるような形にしていきたい」と、ウィズコロナ時代のビュッフェ形式を引き続き追求する意欲を示しました。