ルメールがジャパンC制覇で年間200勝に王手!なぜ外国人騎手は強いのか
優れたレースのマネジメント能力
ダービー2勝トレーナーで、若き日のC・スミヨン(フランス)を預かっていた松田国英調教師は、「彼を最初に見て、感じたのはスタートを決めて、しっかりと勝てるポジションを取りに行くところ。出していって止められる。ホームストレッチではゴールに向かって真っ直ぐに追ってくる」と、その騎乗技術を高く評価する。 また、K・デザーモ(アメリカ)の技術にも驚かされたそうで、「世界選抜が来ている。日本の騎手もどんどん海外に出て行って腕を磨いてほしい」と奮起を促した。 ユニークな視点を持つことで知られる元騎手の芹沢純一調教助手は、「外国人騎手は、ひとことで言うと内をつく。ふだんからタイトな競馬をしているから馬と馬との間隔について知っている。だから日本に来たら簡単やと思うわ。一番うまいのはモレイラ。内にこだわり、道中のどこかで脚をためるから、必然的に最後は伸びて来る」と解説する。 やはり、その位置取りや展開を含めたレースのマネジメント能力が高いのである。 では、日本のジョッキーは、強力なライバルたちをどうみているのか。 今年の日本ダービーを制覇した福永祐一騎手は、「日本人とか外国人とか関係ないでしょう」と前置きしつつ「メジャーの4番打者が来ているんだから、そりゃ勝つよね。それが1~3番人気(の有力馬)に乗ってるんだもん」と、ジャッジしている。 強い馬作りを目指して来た日本の生産馬の成果にも触れ、「お金を出して馬は強くなったが、騎手の技術はお金では買えないからね。この状況を日本の騎手一人一人がどう考えるか」と、危機感を感じ取っていた。 現在のこの状況は、おそらく外国人騎手に門戸が開放されたことによる過渡期なのだろう。立場は違えど馬主も、調教師も、そしてファンも「勝てる騎手、勝てそうな騎手」を重視する。求められるのは結果。当然、有力馬を外国人騎手に任すという流れが生まれていく。日本人騎手の中にも、勝つための努力、研究をしている騎手は多くいる。結果が変われば、強い馬に誰を乗せるのか、の選択基準も変わってくる。 今年度のG1レースも残すところ5レース。外国人騎手の連勝記録は、どこまで伸びるのだろうか。そしてルメールの年間最多勝利記録の更新はなるのか。 (文責・山本智行/スポーツライター)