インスピレーションをすぐ音楽に! Abletonの最新音楽ガジェット「Move」をいち早く使ってみた
フレーズを作成したあとのアレンジも簡単
こうして作成したフレーズは、ループの開始位置を調整したり、ナッジしてフレーズのズレを調整したりすることも可能。また、クオンタイズのかけ具合も調整できるので、衝動的に作成したアイデアの微調整も手軽に行なえます。 また、作成したフレーズは「クリップ」として、「セッションモード」画面に配置されます。このセッションモードとノートモードは本体左部にある「3本線」ボタンを押して切り替えます。セッションモードでは、4つのトラックそれぞれで作成したクリップが配置され、中にフレーズが入っているクリップは色付きで表示され、再生中のクリップは点滅する仕様になっています。 作成できるクリップは1トラックにつき、最大8つ。これらは「セッションモード」画面の横列に配置されます。クリップは同時に最大4つまで再生でき、これらはすべて設定した本体のマスターBPMに同期する形で再生されます。たとえば、縦列ごとに異なる展開を構成するクリップを作成した場合、クリップを順番に左から右に再生していくとその構成どおりに展開する曲として再生することもできます。 また、クリップはタップすると再生できる仕組みになっているので、たとえば、縦列1に配置されているシンセのクリップを別の縦列に配置しているクリップと入れ替えることも可能。これにより組み合わせをリアルタイムで変更しながら、曲の展開を自由にアレンジしていくことも可能です。
ネットワークに繋げばさらに可能性は広がる
Ableton Moveではこのようにユーザーが感じたままにシンプルな4トラックの音楽制作が可能です。しかし、ここで生まれた曲のアイデアをさらに発展させたい場合は、Ableton Liveでブラッシュアップするという方法もあります。その場合、Ableton Moveの「セット」と呼ばれるセッションデータをAbetonの専用クラウド「Ableton Cloud」もしくはデスクトップベースのオンライン専用管理ソフト「Move Manager」に移します。 また、Ableton MoveはWi-Fiにも対応しているため、自宅のWi-Fiと同じネットワークに接続していれば、この作業も簡単。Moveで作ったセットは、自動で「Move Manager」に保存されます。Move Managerでは、Ableton Live用のセットデータがダウンロードできるほか、Ableton Moveで作成した曲をWAVもしくはMP3でダウンロードすることも可能です。 Jun Fukunaga fka LC · Set 5 by Ableton Move また、Ableton Moveのサンプリングした音ネタもこちらに自動でアップロードされるので、後からこの音ネタを別の曲にも使えるので非常に便利です。また、セットやサンプル名はこちらでリネームできるので、管理もしやすくなります。 ダウンロード、もしくはAbleton CloudにアップロードしたセッションファイルはAbleton Liveで開けるため、Ableton Moveで作業中に「ここをもう少し手を加えたい」と思っていた部分を発展させる、あるいは大胆に音源を入れ替えるといったことが可能です。また、iPhone用のAbletonのガジェットアプリ「Note」でも使用できるので、Ableton Cloud経由でセットをダウンロードして、スマホで続きのアイデアを作成するといった使い方もアリです。 さらにAbleton Moveを付属のUSB-CケーブルでPCと接続すれば、コンパクトなLive専用コントローラーとしても使えます。Ableton Pushはサイズが大きく作業スペースに困るといった既存のLiveユーザーからすると非常にありがたいですね。 Ableton Moveは、機能的には限定されながらも、とにかくインスピレーションを逃さずにキャッチアップしたいという人に最適な音楽制作ガジェットになっています。実際に使ってみたところ、特に音源やエフェクト選定時の階層が少ないため、それらの呼び出しがかなりスムーズだと感じました。こうした簡単な操作性は、初めて音楽ガジェットを使う人ならありがたいはず。 使い方としては出先でサクッとアイデア作りに使う方法はもちろんのこと、対応する外部機材との同期機能「Ableton Link」対応機種なので、複数のAbleton Moveユーザーで集まって同期セッションしてみるという方法も楽しそうです。 Ableton Moveのお値段は6万9800円(税込)で「Melodics」による 無料練習レッスン も用意されています。また、最新のAbleton Live 12.1「Intro」も付属するので、Ableton Moveで作成した楽曲アイデアをどんどん発展させていきましょう。 音楽ガジェット初心者から経験者まで幅広くカバーするAbleton Move。きっと買って損はないと思いますよ! Source: Ableton
Jun Fukunaga