バブルの再来? 株価4万円目前だが専門家が「投資は控えるべき」と語る理由
日経平均株価が1989年12月29日に記録した3万8915円。その史上最高値の更新が現実味を帯びてきた。専門家が年内の4万円台突入も確実視するなか、気になるのは今年から始まった新NISA制度を活用した投資方法だ。失敗しない賢い資産運用術とは。 【図を見る】一目瞭然! 新NISAのメリット、デメリットは ***
東証プライム市場が連日のバブル後最高値更新に沸いている。2月16日には日経平均株価は一時、3万8865円に到達。バブル期の最高値にあと50円まで迫ったのだ。年明けに3万3000円台の取引で始まった日経平均は、いったいどこまで上昇を続けるのか。 「年内に4万円を超える可能性はあると思いますし、中長期的に上昇トレンドは続く可能性があります」 と言うのは、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストだ。 「株価が高値を記録している理由はいくつかあります。その一つは米国株が上昇していることと共通していて、生成AI関係で半導体関連企業の業績が予想以上に良いことが挙げられます。一方で、中国経済が停滞していることから中国株を売って、その代わりに日本株を買う動きもあります」
「年内4万3000円台を見据えている」
マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも、 「企業業績も好調ですし、株価は年内に4万3000円台を見据えています」 滅法強気の構えなのだが、小林慶一郎慶應義塾大学教授は連日の最高値更新の理由について、 「円安によって製造業、特に海外で売買を行う企業の収益が上昇したこと、好調なアメリカ株に伴って日本株も好調であること、さらに中国経済が停滞しており、それに伴う日本株への資金流入が行われているという3点が影響しているのではないでしょうか」 そう分析した上で、企業収益の面に関しては、 「注目されている半導体関連企業のみならず、ドルベースや外貨建てで収益を得る企業が為替によって恩恵を受けているのでは」 と指摘する。
「4万円を超すのは今年の後半と予想」
ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏も、 「長い目で見たら日経平均の4万円は通過点に過ぎないでしょう」 こう述べながら、 「ただ短期的に見ると、3月は年度末で機関投資家たちが決算のために売りを出します。また多くの企業は4月下旬から新年度の業績予想を出しますが、日本企業は予想を結構渋めに出す傾向がある。すると、やっぱり株価は上がりづらい。そういう事情もあって、これからしばらくは慎重になる局面に入るはずなので、4万円を超すのは今年の後半だと私は予想しています」 やや慎重ではあるものの、やはり年内には4万円を突破するとの見方を示すのである。もっとも、賢明な読者諸兄ならば、ここである不安が頭を擡(もた)げよう。それは、この株式市場の活況が「バブル」なのではないか、ということだ。