バブルの再来? 株価4万円目前だが専門家が「投資は控えるべき」と語る理由
新制度の利点
現在の株式市場に関する見通しは、かように百家争鳴の状態なのだが、一方で個人投資家を取り巻く状況にも今年、大きな変化があった。旧NISAから新NISAへの移行である。 経済ジャーナリストの荻原博子氏は、 「NISAの最大の利点は非課税であることです。通常の証券口座であれば、100万円の投資が200万円になった場合、売却時に利益の約2割の20万円が税金として取られてしまいますが、NISAであれば税金が取られることはありません」 と、新旧NISAに共通のメリットを挙げた上で、 「旧制度では“つみたてNISA”(限度額800万円)と“一般NISA”(限度額600万円)は併用できませんでしたが、新制度では“つみたて投資枠”と“成長投資枠”を併用でき、合計の生涯投資枠が1800万円まで拡大されました。また、旧制度では非課税保有期間は一般で5年、つみたてで20年でしたが、新制度では期間が撤廃されて無制限となりました」 そう新制度の利点を語る。
デメリットも
また、先の深野氏が注目するのは別の利点で、 「非課税投資枠を上限まで使い切ってしまったとしても、投資した商品を売却すれば翌年再投資できるようになりました。1800万円の枠を使い切っても、例えば100万円分を売ればその分の枠が翌年に復活して、再び100万円を投資できるようになったのです」 一方でこんなわなも。 「デメリットとしては、一般的な課税口座でできる『損益通算』や『繰越控除』ができないという点があります」(前出・荻原氏) つまり、通常の課税口座ならば利益と損失を相殺する「損益通算」及び、株の損失を3年間繰り越してその間の利益と相殺する「繰越控除」が可能だが、それが(新)NISAでは許されないというのである。
ほったらかし投資
そんな新NISAを活用したお勧めの投資法に関して、前出・永濱氏は、各人の置かれた状況により異なるので一概には言えないとしながら、 「短期的に使わない現預金を持っているのであれば、毎月10万円とか一定額を“つみたて投資枠”に突っ込むのがいいと思います。商品は(全世界株式連動型で)できるだけリスク分散が可能なオールカントリーのインデックス投資がいいと思いますが、リスクが高くても、リターンが欲しいというのであれば米国株や日本株限定のインデックスもありかもしれません」 いずれにしても、 「毎月一定額を積み立てれば高値づかみのリスクは回避できるし、長期保有すれば上昇トレンドで資産は増える可能性が高くなります」 そう述べ、積み立て継続の重要性を強調する。いわゆる“ほったらかし投資”である。