バブルの再来? 株価4万円目前だが専門家が「投資は控えるべき」と語る理由
株式市場ばかりが盛り上がっている
株は上がれども、庶民の生活が一向に上向かない理由については、経済産業研究所の竹森俊平上席研究員の話も示唆に富む。 「80年代後半の日本経済がそうだったように、株価が上昇すれば消費も活発になるのが普通ですが、現状はそうではなく株式市場ばかりが盛り上がっています。その理由は80年代のバブル期とは違って、現在株価を押し上げている要因が海外からの投資だからです」 続けて、 「米国のFRB(連邦準備制度理事会)がインフレを背景に金利を引き上げる一方で、日銀は金融緩和策を維持しています。そのため、日米両国の金利差が開き、円安基調になっている。結果として日本株に割安感が生まれ、海外投資家が日本株を買い、株価上昇を招いています。株高によって国内企業は資本調達がしやすくなり潤っていますが、国内家計はあまり豊かさを感じていません」 さらに言うには、 「現在の株価は日米の金融政策の違いから、日本の金利が米国に比べ低いのが要因。今後、両国の金利差が縮小すれば一時、円高株安になりかねない。ただし金利差はゼロにはならないので、当面の間は、円安株高傾向は続きそうです」
大恐慌前夜
竹森氏はこのように慎重な見方を示すのである。だがしかし、経済アナリストの森永卓郎氏はより“悲観的”で、 「今の状況はどう見たってバブルですよ」 と言い切る。 「米国では半導体メーカーのエヌヴィディアのほか、グーグルやアップルなどが実力以上の株価をつけており、“ドットコムバブル”になっている。日本は、その米国の株高に引っ張られるかたちでバブルが起きているのです。今は大恐慌前夜の1920年代末と世の中の空気がそっくり。その頃も、米国では自動車と家電製品の分野でバブルが起きて、株価は異常な高値がついていました」 もちろん、バブルは必ずいつかはじける。 「暗黒の木曜日と言われている29年10月24日に米国株は大暴落。3年弱で90%も米国の株価は下落しました」