バブルの再来? 株価4万円目前だが専門家が「投資は控えるべき」と語る理由
80年代のバブルとは違う
この点、前述の永濱氏は、 「最近の最高値更新は、1980年代のバブルとはまったく違います。80年代は中身がスカスカの3万8000円台でしたが、今は中身が詰まっています」 どういうことか? 「株価は企業の収益に対する期待をもとに決まる。株価が収益期待に対して割高か、あるいは割安かを見るための代表的な指標に株価収益率(PER=Price Earnings Ratio)というものがあります」 一般的な上場企業の場合、適正なPERは約15倍といわれているが、 「80年代後半のバブル期のPERは50倍以上。期待ばかりが膨らんでいて、企業の業績の裏付けがない、実力を伴わない株高になっていたのです。それに対して現在の日本株は約16倍ですから、実力に見合う水準の株価と言っていいでしょう。バブルがはじけた時のように、株価が暴落することは考えにくいのです」
「楽観視できない」
しかし、違う立場から市況を眺める向きもある。 「日経平均が連日最高値を更新し、日経新聞や証券会社はお祭りムードですが、私は現在の相場について楽観視はしていません」 とはインフィニティ合同会社チーフ・エコノミストの田代秀敏氏だ。 「企業の生産能力をもとにどれくらい経済成長できるのかを示す“潜在成長率”という指標があるのですが、89年の日本の潜在成長率は4%以上でした。しかし、その数字はその後どんどん下がり、2004年以降は地を這うようにずっと1%未満が続き、アベノミクスでも上昇させられませんでした」 実際、現在の日本経済の低成長ぶりは、物価変動による影響を取り除いてその年に生産された財の価値を示したGDP(国内総生産)、いわゆる「実質GDP」の推移を見ても明らかだという。 「23年10~12月期の実質GDPは、前期(7~9月期)より0.1%減りました。2四半期連続のマイナス成長であり、それはすなわち景気の後退を意味します。要するに、今の株高は実体経済を反映していないのです」