【安田記念】海外GⅠ・7勝馬ロマンチックウォリアー参戦 展開のカギは距離延長で臨むウインカーネリアンにあり
距離延長で巻き返すウインカーネリアン
前走海外は【1-3-1-14】、4月終わりの香港チャンピオンズデー出走馬は【0-1-0-5】。シーズンハイライトから約1カ月。その間、検疫もあり、日程は決して楽ではない。だが、この数字をそっくりロマンチックウォリアーに当てはめていいか迷う。検疫期間は変わらないので壁は存在する。しかし、東京競馬場に国際厩舎ができ、移動を伴う検疫はなくなった。この負担軽減がどれほどパフォーマンスを引き出すのか、これもまた注目すべきだろう。 国内組の傾向をみていこう。前走GⅠ【4-5-3-35】勝率8.5%、複勝率25.5%の内訳をみると、ヴィクトリアマイルが【2-4-0-10】勝率12.5%、複勝率37.5%。その2着【0-0-0-4】、6着以下【0-0-0-3】。好走馬は勝ち馬か4~5着馬から出ており、フィアスプライド、ナミュールにプラスとはいえない。ただナミュールは例年より1週間遅いドバイ帰りで検疫期間を挟んだ難しい調整での出走だっただけに、中2週とはいえ上積みも考えられる。また、今年のヴィクトリアマイルは前後半800m45.4-46.4のハイペースであり、例年ほど安田記念とのペース差はなさそう。2着に残ったフィアスプライドも前走経験を生かせるのではないか。 ウインカーネリアンが当てはまる前走高松宮記念は【1-0-1-9】勝率9.1%、複勝率18.2%。ここは2着【1-0-0-1】、10着以下【0-0-1-2】。3、4着は【0-0-0-3】。しかし、ウインカーネリアンにとってマイルは主戦場でもあり、距離延長は歓迎だ。先行勢はドーブネぐらいで、マイペースまである。昨年の東京新聞杯は45.8-46.0で逃げ切った。東京マイルはベストといっていい。 前哨戦では前走マイラーズC【1-0-4-33】勝率2.6%、複勝率13.2%に注目する。好走は1着【0-0-2-7】複勝率22.2%、4着【1-0-1-3】勝率20.0%、複勝率40.0%、10着以下【0-0-1-1】。1、2着ソウルラッシュ、セリフォスの実績馬のほかに4着エアロロノア、8着コレペティトールがいる。東京マイルへの適性という意味では、昨年2着セリフォスだろう。ソウルラッシュは安田記念13、9着。格下の富士S2着など適性が高いとはいえない。 格下だが前走ダービー卿CTは【2-0-0-8】。15年モーリス、16年ロゴタイプはそれぞれダービー卿CT1、2着からGⅠをつかんだ。近年は好走馬を送っていないローテーションだが、パラレルヴィジョンの勝ちっぷりは魅力的だ。ほか、フェブラリーS2着ガイアフォースは昨年の安田記念4着、天皇賞(秋)5着など東京なら芝ダートを問わない。持続力勝負なら上位に食い込む力はある。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳