トイレチャレンジが始まって「おむつは嫌、トイレでしたい!」の子どもの気持ちに寄り添うには?【ママ泌尿器科医】
6歳の男の子と3歳の女の子2人のママであり、泌尿器科医である岡田百合香先生の連載。岡田先生は、子どもの成長に合わせておむつ生活を卒業していくことを「トイレチャレンジ」という言葉で提案しています。今回は長距離移動から経験した娘さんの「トイレチャレンジ」に関して。子どもの排せつに関するサポートの大切さについてて考えます。 「お母さん・お父さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#50です。 【画像】最新の脳科学でわかった、0カ月から10歳の子どもの脳の領域【専門家】
「トイレでしたい!」という子どもの気持ちは大切にしたい・・・
夏休みの連休に、車で片道5時間強かけて子どもたちと帰省しました。3歳を過ぎ昼間はトイレでおしっこできる回数が増えてきた娘。そのため日中、保育園ではパンツで過ごしているようですが、おむつを嫌がるわけではないので自宅ではまだおむつを着用しています。 そんな娘ですが帰省先で体調を崩し、帰りの車内では終始不機嫌。心配に加えて大変だったのは、「おしっこ行きたい!」という尿意の訴えが頻繁だったこと。 連休中ということもあり、高速道路は渋滞気味、サービスエリアも混雑しています。 トイレに連れて行ってもおしっこがそれほど出ないこともあり、「なんか調子悪い」「ずっと座っているの嫌だ!」も合わさった「おしっこ!」だったのだと思います。 走行中に「ごめんね、すぐにはトイレに行けないんだ。今おむつはいてるから、そのままおしっこしても大丈夫だよ」と言ったのですが、「嫌だ!トイレでしたいの!」と言われたらその気持ちを尊重しないわけにはいきません。
子どもの気持ちを大切にしながら、保護者側の事情はどうする?
「排せつは人の尊厳にかかわっている」というのは医療・介護従事者が共有する常識です。 高齢者や障害のある患者さんの場合「トイレまで移動し、衣服を脱着し、排せつ後にふく」という一連の動作に介助が必要であることが多く、頻尿のため頻繁にナースコールでトイレに連れて行ってほしいと望む人もいます。 常に多忙で人手不足の現場では、正直「無理してトイレに行かずに、おむつで済ませてほしい」という気持ちになることもあります。しかし、「自力でトイレで排せつしたい」という気持ちは決して軽視してはいけないという共通認識の元、最大限患者さんの希望に寄り添った対応をしています。「排尿ケアチーム」というチーム体制でその人の排尿をサポートするしくみも病院にはあるのです。 ですから、子どもも同様に「トイレでおしっこしたい」という気持ちが芽生えたのであれば、それは最大限に尊重されるべきなのです。 とはいえ、移動時のようなトイレへのアクセスが厳しい状況や、子どものトイレに毎回つき添い、おもらししてしまったときに掃除や洗濯をするのが難しい保護者の事情もあります。