「震災復興」「コロナに打ち勝つ」東京五輪へ意欲 菅首相が自民党大会で演説
自民党は21日、第88回党大会を開いた。党総裁である菅義偉(よしひで)首相が演説し、新型コロナウイルス流行で今夏に延期された東京五輪・パラリンピックに向けて、「震災復興」「コロナに打ち勝つ」証となる大会にすると意欲を語った。女性活躍を盛り込んだ党の運動方針も採択した。 【動画】自民党が第88回党大会 菅首相が「東京五輪」「女性活躍」に意欲
党運動方針では「女性活躍」打ち出す
菅首相は「今やるべきことは、新型コロナを1日も早く収束させ、安心とにぎわいのある日常を取り戻すこと」と述べ、コロナ対応を最優先に取り組んでいくとした。 日本では、欧米諸国のロックダウンのような厳しい対策を取ることなく、飲食店などへの時短要請など「ピンポイントの対策で効果を上げることができている」と述べ、失業率も主要先進国で低い水準だと胸を張った。 首都圏を対象にした緊急事態宣言は21日で解除されるが、「これからが重要な時期だ」として、マスク着用や手洗い、「3密」回避を徹底して「変異株を警戒し、リバウンドを防ぐ」と述べた。 今年の夏には、新型コロナの影響で延期された東京五輪・パラリンピックが予定されている。コロナの収束が見通せない中で、3月20日には東京大会組織委員会が海外からの観光客受け入れを断念する方針を決めた。組織委をめぐっては、森喜朗前会長の「女性蔑視発言」が批判を集めた。 五輪に向けては「感染対策を万全にし、アスリートが運動する姿を通じて、日本から勇気と希望をお届けしたい。震災から復興する姿を示し、人類が新型コロナに打ち勝った証となる大会にしたい」と大会実現への意欲を語った。 「地方」や「子ども」「女性」に関する政策も強調した。コロナ禍で厳しい環境にあるひとり親や所得の低い家庭に対し、子ども1人当たり5万円を支給する給付金や、1月から助成額を拡充し、来年4月からは保険適用となる不妊治療、4月から小学校で始まる「35人学級」などの政策を紹介。また「すべての女性が輝く社会をつくっていく」として、自民党でもあらゆる意思決定に「女性の参画を確保する」とした。 地方政策に関しては「地方を大切にしたい、元気にしたい。田舎で育った私には地方への熱い思いが流れている」と思い入れを語り、地方で働く人の所得を増やすために、農林水産物の輸出を伸ばすことや、コロナ後の外国人観光客に備えて地方の観光資源を整備することなどに力を注ぐとした。 憲法改正については「わが党の党是」と言及したものの、改憲への手続きを定める国民投票法改正案について「与野党で今国会で何らかの結論を得ることで合意している。まずは第一歩として改正案の成立を目指す」と述べるにとどめた。 今年は4月に衆参補選や再選挙、7月には都議選、そして「どんなに遅くとも秋までには総選挙がある」と述べ、この「選挙の年」に「先頭に立って戦い抜く」と語った。
党大会では「女性が個性と能力を発揮できる公正な社会の実現」などを打ち出した党の運動方針を採択した。公務員接待問題や公選法違反事件を踏まえ、行政への信頼回復に努め、政治不信の払しょくへ法令遵守を徹底することも盛り込んだ。