子どもの性教育をどう始める?専門家が語る「自分のからだを守る」意識の育て方
・子どもが「自分のからだは大切」と感じられるように 「自分のからだは自分のもので、とっても大切なんだよ」と、大人がいくら伝えても、子どもがそう実感するのは難しいものです。なによりその感覚のベースとなるのは、「自分が大切に扱われる経験」で、それが自分を大切に思う自尊感情の土台になります。 赤ちゃんのおむつを替えるときに、必ず「おむつを替えるね」などと声をかける、優しくふく、というように、幼いときから大人が子どものからだを丁寧に扱うことが、とても大事になってきます。 性に関係することに限らず、日常生活における子どもへのそのようなかかわりを積み重ねていくこと。それが、子どもが「自分を大切にしなくちゃ」と感じられることにつながっていきます。
自分の感覚と人の感覚は違う
・「感じ方」を決めつけない 「からだを触られてうれしい・いや」という感覚は、一人ひとり違います。「子どもは抱っこされるとうれしいだろう」「くすぐられるのが好きだろう」と思っていたけれど、よく見ると、くすぐられているときの表情がうれしそうではなかった、聞いてみると「本当はいやだった」ということもあります。 「子どもだから、これは好きだろう」ではなくて、「その子がどう感じるか」という視点をもってかかわることが大切です。これは、子ども同士の関係でも同じです。 小学校1、2年生頃になると、道徳の授業などで「それぞれ感じ方が違う」「相手の気持ちを考える」ということを考える機会も出てきます。 「私はこれが好きだから、〇〇ちゃんも好きだろう」ではなくて、「いろいろな感じ方があるね」「あなたはこれが好きでも、〇〇ちゃんはいやなんだって」「いやと感じてもOK」といったことを、親子でもさまざまな場面で話していけるとよいですね。
・「感じる」力を育む いろいろな感じ方があることを知り、自分の感じ方・人の感覚を大切にするには、まず「好き・嫌い」「気持ちいい・気持ち悪い」といった感情や感覚をしっかり感じ取る力が必要です。誰かから何かされそうになったときに「これはいやな感覚」ということに気づき、自分を守ることにもつながる力です。 そのような力を育むには、大人が「快・不快」を言葉にして伝えたり、感覚を共有したりするかかわりが不可欠。 例えば、赤ちゃんに「おしっこが出たね。おむつが濡れて気持ち悪いね」「おしりをふいて、気持ちがいいね」と言葉をかけ、共感を示すのもその一つです。 「靴下が濡れちゃっていやだったね。はきかえてすっきりしたね」「おふろに入って、さっぱりしたね」などと、生活の中でのさまざまな感覚を意識して、子どもに伝えたり共有したりしていきましょう。 そんなやり取りの中で、子どもが「これが『気持ち悪い』ということか」と感じられたり、「お母さんはいやって言ったけど、僕はそんなにいやじゃないな」というように感覚の違いを知る経験が積み重なっていきます。