ざわめいた会場。久保建英のフル代表初戦ベンチ外のなぜ?
キックオフまで1時間を切った段階でメディアへ配布された、トリニダード・トバゴ代表戦へ臨むスタートリスト。A4判のペーパーに記された日本代表の先発陣はおろか、12人を数えるリザーブ陣のなかにも、6月シリーズでフル代表に初招集されたMF久保建英(FC東京)の名前はなかった。 インターネットを通じて情報をキャッチしたからか。豊田スタジアムを埋めた3万8507人のファンやサポーターも大きくざわめく。森保ジャパンが初めて3バックを採用し、スコアレスドローに終わった5日のキリンチャレンジカップを、久保はジャージー姿でメインスタンドから見届けた。 国際サッカー連盟(FIFA)の規定が改められ、公式戦に倣って国際親善試合でもベンチ入りメンバーの上限が23人となった。今シリーズに招集された27人からGK川島永嗣(RCストラスブール)、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、DF中山雄太(PECズヴォレ)、そして久保の4人が外れた。 前夜にU-20日本代表が決勝トーナメント1回戦でU-20韓国代表に屈した、ポーランドで開催中のFIFA・U-20ワールドカップ。そしてU-22日本代表が連勝発進を飾った、フランスで開催中のトゥーロン国際大会。年代別の国際大会出場を回避させてまでフル代表に呼び寄せた18歳の久保へ、森保一監督自身が大きな期待を抱いていると試合後の公式会見で明かした。 「みなさんも期待されていると思いますし、メディアのみなさんを通して日本サッカーを見ている方も期待されていると、ヒシヒシと伝わっています。私も今回招集させてもらって十分にフル代表でプレーできる、ピッチの上に立たせてみなさんの期待に応えたいという気持ちはあります」 トリニダード・トバゴ戦の前日の段階で、先発起用はないと示唆していた。実際にはリザーブからも外した理由を、指揮官は「少し緊張の糸を緩めながら先に進んだ方がいい、という思いもある」とこんな言葉を紡いだ。 「18歳にしてシーズンを通してFC東京に貢献するプレーを続けてきて、ここにきて移籍報道などのプレッシャーがかかっているので」 もっとも、理由は“親心”だけではない。森保監督はチーム内の“序列”を重視する。トリニダード・トバゴ戦で採用した[3-4-2-1]システムのなかで、久保を起用するとすれば2列目の「2」の一角となる。シャドーと呼ばれるポジションは、しかし、今シリーズで最も選手層が厚い。