『交通事故鑑定人 環倫一郎』で有名な漫画家・樹崎聖の『オートモビルカウンシル2024』見聞録「中編:ロータリーエンジンとロードスターと自動車文化」
2024年4月12~14日にかけて千葉市美浜区にある幕張メッセ・ホール9/10を会場に『オートモビルカウンシル2024』が開催された。前回に引き続き『交通事故鑑定人 環倫一郎』(原作:梶研吾)や『Eunos』、『ZOMBIEMEN』(共著:岡エリ)などの作品を執筆している漫画家の樹崎 聖さんとショーを回ったので、その様子をリポートする。 REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) 【画像】『オートモビルカウンシル2024』に展示されたマツダRX500とロードスターのカスタムカー。
現行モデルのオーナーである樹崎聖、初代アルピーヌA110に遭遇
プジョーユーザーの駆け込み寺として知られる『原工房』のブースで、社長の原誠二さんにお茶をごちそうになった筆者と樹崎さんは再び会場を散策する。すると、原工房からすぐ近く、『ジロン自動車』のブースで初代アルピーヌA110を発見した。ジロン自動車は大阪に拠点を構える輸入車の老舗ディーラーで、フィアットやアバルト、ロータス、モーガンなどの新車販売のほか、厳選したヘリテージカーの販売も行っている。 「いやー、車体サイズがコンパクトですね。ボクの現行型A110Sと比べるとまるで軽自動車です。モータースポーツを前提にしたマシンとは言え、コクピットなんか大柄の外国人が本当に乗れるのかというほどの狭さです。逆に言えば、この60年の間にいかに自動車が肥大化したかということの現れとも言えますけど……」 A110を前にしてそう語る樹崎さん。 たしかに昔に比べて自動車はかなり大きくなった。先ほど訪れた原工房の近くにVWゴルフ生誕50周年記念展として初代、二代目、四代目、七代目、現行型となる八代目の5台のゴルフが並べられているのを見たが、近年の車体サイズの大型化は著しく、まさに恐竜的な進化と言えるほど。安全基準の引き上げなど自動車に求められる要件が増えたことによるサイズアップとされているが、欧州(とくにトルコや東欧からの移民)や中国のユーザーが「せっかく新車を買うなら大きく立派に見える方が良い」とする市場からの要望も背景にはあるようだ。 現行型ゴルフはすでに初代パサートのサイズを遥かに凌駕している。この半世紀ほどでクルマは大型化したが、それに合わせて道幅が拡大されたわけではない。小型のブレッド&バターカーがここまで大きくなると使い勝手が悪くなる気もするのだが……。 「とは言え、昔のA110のサイズだとさすがに普段遣いはしんどいでしょうね。今となっては現行型のA110はコンパクトなサイズと言えますし、スポーティでありながら快適性を損なわない必要最低限の車内空間を確保しているので不満はないですね。逆に昔のサイズのまま復活していたとしたら、たぶん買わなかったと思います」 マニアが気にする駆動方式の変更を樹崎さんは気にならなかったのだろうか? 「それは全然こだわらなかったです。昔の車名を復活させて、よく似たスタイリングを与えたスポーツカーを作る方が、新規にブランドを立ち上げるよりもビジネス上有利になるという経営上の判断だったのでしょう。だから、自分としてはオリジナルには敬意を払いますが、両車はまったくの別物と考えています。1台のスポーツカーとしてよくできると思ったから現行型を愛車に選んだだけでそれ以上でもそれ以下でもありません。だから、現行型のリヤエンドのスタイリング……初代のエアインテークがあった場所にあるディンプルがボクは気に入らないんですよ。機能に関係ない意匠ですからね」 じゃあ、もう1台趣味車を増車するとしても昔のA110は買わないのかと聞くと「たぶん買いません。だって今の愛車は趣味車兼アシですから」ときっぱり。樹崎さんらしい潔い返答である。
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