『交通事故鑑定人 環倫一郎』で有名な漫画家・樹崎聖の『オートモビルカウンシル2024』見聞録「中編:ロータリーエンジンとロードスターと自動車文化」
ロータリースポーツをフューチャーしたマツダブースで「RX500」に興味津々
その後、筆者と樹崎さんは国産旧車を展示していたヴィンテージ宮田、マセラティ、三菱自工と会場外周を回ってマツダブースにやってきた。今回のマツダは「ロータリースポーツカーコンセプトの歴史と未来」をテーマに、1967年に発表されたRX500、1999年に発表されたRX-EVOLV、昨年発表されたMAZDA ICONIC SPの3台のコンセプトカーを展示していた。その中で樹崎さんが反応したのがRX500だった。 「これカッコイイですけど、こんなクルマ、マツダにありましたっけ?」というので東京モーターショーに出品されたコンセプトカーであることを説明する。樹崎さんは初めてこのクルマを見たようで、「当時としては斬新なスタイルもさることながら、軽量・低重心・コンパクトなロータリーエンジンはミドシップとの相性が良さそうですね。市販化しなかったのは残念です」 じつはRX500以外にもロータリーエンジンをミドに搭載するスポーツカーの企画はあったようで、故・徳大寺有恒さんの著書によると、1970年代にロータスとのコラボでヨーロッパに12A型エンジンを積む計画もあったそうだが、こちらはロータリーエンジンのパテントを持つNSUの反対により実現しなかった。 しかし、のちになってRE雨宮が3ローターの20B型エンジンをヨーロッパに搭載した「雨宮スーパーヨーロッパ」を製作し、REの心臓を持つロータス・ヨーロッパの夢は現実のものとなった。今持ってマツダは市販車を発売してはいないが、ロータリーエンジン+ミドシップの組み合わせはスポーツカー好きなら誰しもがそのポテンシャルに胸の高まりを禁じえない。 1990年代にはレシプロエンジンの技術も進化し、日産のSR20型のようにロータリーエンジンよりも軽量なエンジンも登場しているが、それでも低重心・コンパクトというアドバンテージがREにはあるのだから。 昨年はMX-30 e-SKYACTIV R-EVの登場で焼く10年ぶりにREが復活し、ジャパンモビリティショーに出品されたMAZDA ICONIC SPによって市販ロータリースポーツが久しぶりに登場する可能性がアナウンスされた。将来のロータリースポーツがどのようなカタチになるのかはわからないが、いつの日かRX500のDNAを引き継ぐ市販ミドシップスポーツカーを見てみたい。
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