夫の突然死で生きがいを失った61歳妻、年金事務所で告げられた〈まさかの遺族年金額〉に「あんな判断さえしなければ…」【FPが助言】
公的年金の制度はとても複雑で、安易な判断をすると思わぬ損をしてしまうことも。例えば、年金繰り上げのデメリットは「繰り上げた分だけ受け取り額が減ること」だけだと思っていませんか? 実はそれ以外に思いもよらぬデメリットがあるのです。今回はそんな複雑な年金制度の中で失敗してしまった事例を小川洋平FPがご紹介します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
飲食店を営む平和な日常に訪れた、突然の夫の死…
酒井紀美さん(61歳・仮名)は、長年連れ添った夫の雅仁さん(65歳)を突然亡くしました。 夫婦は長年にわたって小料理屋を営んでおり、雅仁さんが調理を、紀美さんが接客を担当。おいしい料理と雰囲気の良さで地域での人気は定着し、忙しくも楽しくお店を切り盛りしていました。 そんなある日、朝起きると強い胸の痛みと息苦しさを感じた雅仁さん。少し様子を見れば落ち着くだろうと、雅仁さんはもう一度布団に横になりましたが、しばらくたっても状態は良くなりません。そんな夫の様子を見ていた紀美さんが「これはただ事ではない」と急いで救急車を呼んだのでした。 しかし、急性心筋梗塞を発症していた雅仁さんは、そのまま帰らぬ人となってしまいました。「救急車を呼ぶのがもっと早ければ…」そんな後悔が押し寄せますが、紀美さんに悲しみに浸る暇はありません。 夫がもういないという現実をきちんと受け止める余裕もないまま、親族への連絡、予約を受けていた団体客に謝罪の電話、葬儀の準備と追われ、ようやく葬儀が終わり一息つくことができました。 「さて、これからどうしようか……」 ようやく先のことを考える時間ができた紀美さん。生きがいにしていた小料理屋も夫がいなくては続けることはできません。それと同時に、夫の年金のことが気になり始めました。同じように夫を早くに亡くした商工会の仲間から、遺族年金を受け取ることができることを聞いたのです。 「これまでの年金よりは減るだろうけど、生活の足しになれば」と考えながら、最寄りの年金事務所に相談してみることにしました。
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