ネットショッピングで消費者を惑わせる「ダークパターン」。国内主要アプリ200個のうち、93.5%でダークパターンを使用
通販サイトを見ていたら「在庫残りわずか」といったメッセージが表示され、焦ったことはありませんか?こうした、消費者の冷静な判断を阻害し、企業側に都合のいい行動に導くウェブサイト・アプリの画面づくりのことを「ダークパターン」と呼びます。中には虚偽の表示をして消費者の行動を煽るケースもあるようです。ダークパターンの具体例や、惑わされない心構えを解説します。 【写真】ネットショッピングでトラブルになったら? * * * * * * * ◆ダークパターンとは ダークパターンとは、企業側に都合のいい行動をとらせるために、消費者を欺くような作りをした、画面デザインや表示のことです。さらに、虚偽の在庫数やレビューを表示して購入へと誘導する悪質なケースも報告されています。 これにより、「必要ではなかったのに購入してしまった」「思わぬ契約をしてしまった」といった、消費者が損をする事態が引き起こされます。 ダークパターンは今や、インターネット上のあちこちで目にする存在です。2023年4月に発表された東京工業大学の研究室の調査によると、ショッピングや音楽などの国内主要アプリ200個のうち、93.5%でダークパターンが使用されていたことが明らかになっています。 事態の深刻化を受け、2022年にはOECD(経済協力開発機構)が報告書を公表し、ダークパターンを7つのタイプに分類しました。 具体例を混じえて紹介していきます。
◆ダークパターン7つの類型 (1)緊急性時間や在庫などが限られていると示し、購入のプレッシャーを与える。 〈例〉 ・「在庫残りわずか」「今しか購入できない」というメッセージが表示される。 ・割引期間終了までのカウントダウンタイマーが表示される。 (2)執拗(しつよう)な繰り返し利用にあたって必ずしもとる必要のない行動をしつこく求める。 〈例〉 ・「サービスを利用するには通知を許可してください」というメッセージが表示され、拒否しても許可を求めるメッセージが繰り返し表示される。 (3)強制消費者が望まない行動を強制または同意なく実行する。 〈例〉 ・商品の閲覧だけでも「サービスを利用するには会員登録が必須です」というメッセージが表示され、会員登録を促される。 ・消費者の許可なく個人情報を抽出する。 (4)妨害企業にとって都合の悪い行為を妨害する。 〈例〉 ・サービス解約にあたって、多量の確認事項へのチェックを求める。 ・退会方法をわかりづらくする。 (5)こっそり購入の意思決定に関わる重要な情報を、はじめの段階で隠したり、見えにくくしたりする。 〈例〉 ・「12ヵ月購入コース」という表示を非常に小さな文字で表示し、単発購入できる商品であるように見せかける。 ・無料のトライアル期間終了後、自動で定期購入プランに移行する。 ・商品をカートに入れると、別の有料商品も一緒に追加される。 (6)インターフェース干渉企業側に都合のいい行動を促す。 〈例〉 ・最も購入させたい商品や購入方法を大々的に扱う一方で、その他の商品や購入方法を目立たない見せ方をして、消費者の選択を誘導する。 ・消費者の同意を得るポップアップで、「同意」ボタンは赤で目立たせ、「拒否」ボタンはグレーで目立たなくする。 (7)社会的証明他の消費者の行動を知らせることで、消費者に意思決定させることを働きかける。 〈例〉 ・商品をお気に入りに登録している人数が表示される。 ・「現在この商品を見ているのは10名です」という通知が画面に現れる。
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