法で裁けない悪を退治する! 復讐のヴィジランテ映画5選!
親族が殺された復讐を自ら行う!『パニッシャー』
70年代にマーベルコミック内に登場して人気を集め、80年代、ついに単独コミックデビューを果たしたパニッシャー。2度目の映画化となる本作では、FBI捜査官フランク・キャッスルのおとり作戦によってギャングの親玉の息子が死亡し、その復讐としてキャッスルの妻子のみならず親族の命が根こそぎ奪われるという壮絶な仕打ちを受ける。負傷を乗り越えた彼は、黒のロングコートにドクロマークのTシャツというスタイルで、感情に支配された復讐ではなく、法の及ばない巨悪への”制裁(punishement)”として、容赦ない攻撃を仕掛けていくーーー。 マーベルヒーローでありながら、彼自身は何らスーパーパワーを持たず、とりわけ本作ではひたすら”生身の体”で立ち向かう姿が特徴的。その点、CG満載のSFアクションとは違い、作り手曰く、レオーネ、ペキンパー、シーゲル作品にインスパイアされたザラついたバイオレンス色を前面に出しているのだとか。通常のアクション大作に比べると予算が少なく、脚本冒頭にあった大事なシーンすらも取りやめになったほど。それでも挫けず、なんとか形にした監督&キャストの執念がにじむ作品である。
警察官が復讐の鬼と化す!『マッドマックス』
70年代の終わり、医師としてキャリアを築きながら映画監督の道へ入り込んだジョージ・ミラーと、無名の駆け出し俳優だったメル・ギブソンが運命的に巡り合うことで生まれたSFアクション。暴走ライダー軍団が傍若無尽の限りを尽くす近未来のオーストラリアで、警察は彼らを取り締まるべくV8エンジン搭載の特殊車両を駆使して追跡作戦を展開するがーーー。 容赦ない追跡は壮絶な復讐を呼び、その連鎖は悪化するばかり。相棒を殺され、幼い我が子を失い、愛する妻も重傷を負わされた主人公マックスはいつしか法の番人としての立場を脱ぎ捨て、”復讐の鬼”となって超術スキルでマシンを走らせる。この怒気とハイテンションはまさに天井知らず。具体的なバイオレンス描写を映すことなく、むしろ度重なるイメージと矢継ぎ早の編集、ピンポイントのカークラッシュや爆破を描写することで低予算ながら劇的なまでの効果を獲得している。『マッドマックス:フュリオサ』公開中の今だから見直したい、荒削りながらダイヤ原石の輝きを持った一作。映画史を揺るがす伝説はこうして幕を開けた。