大手銀で「リアル」再評価 「金利ある世界」到来、相次ぐ新形態店舗【けいざい百景】
相談ニーズ「爆発的広がり」
りそな銀行は11月17日、奈良県大和郡山市のイオンモール内に新形態店舗「りそな!n(イン)」の1号店を開設した。支店の統廃合や改装ではなく、約6年半ぶりの純粋な新規出店だ。 りそなインは、口座開設のほか、資産運用などの対面相談に特化した店舗で、土日も営業する。特徴的なのは、趣味や結婚、健康、マイホーム選びなど、人生のさまざまな悩みや関心事などをテーマにしたセミナーを専門の講師を招いて実施し、集客の仕掛けとすることだ。 岩永省一社長は「生活の全てに金融との接点がある」と説明。セミナー参加や買い物のついでに立ち寄った人々に、資産運用や各種ローン、相続対策といった解決策を提案していくのが狙いだ。新NISA(少額投資非課税制度)開始も踏まえ、「顧客の(対面相談の)ニーズが爆発的に広がり始めている」とも語り、来年9月までに商業施設や駅ナカなど10カ所程度にりそなインを出店する考えを示す。 一方、三菱UFJ銀行は今年9月以降、長野県軽井沢町や愛知県長久手市、千葉県流山市のショッピングモールに期間限定で個人向けの小型店舗を試験的に設置した。資産運用や相続、住宅ローンなどの相談に特化した店舗で、ニーズを見極めた上で来年から本格展開することを視野に入れている。 三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は、店舗網を大幅に縮小してきたこれまでの路線を転換し、「これからは商業地域に店舗を増やしていく」と強調する。三菱UFJ銀は来年度入社から、顧客対応を中心に支店経営のプロを目指す採用枠を設けるなど、対面相談の人材育成にも力を入れる。 大手行ではこのほか、みずほ銀行も11月7日、資産運用の相談や口座開設などに特化した新形態の小型店舗「みずほのアトリエ」の出店計画を発表した。来年3月に神奈川県内のショッピングモールに設置する2店舗を手始めに、全320~330店舗のうち約70カ所を移転・改装し、「アトリエ」に転換する方針だ。 これら各行の新型店舗はいずれも、人流の多さや立ち寄りやすさを意識しており、週末も営業している点が共通している。これまでの駅前を中心とした面的な店舗展開とは一線を画す動きだ。