学校の課題を解決するヒントに「教育書」厳選10冊 日常とは違った視点で課題を読み解く読書の力
スマホはどこまで脳を壊すか(著:榊 浩平)
とくに目的もないのに、ついだらだらとスマホを見てしまう人は多いに違いない。こうしたスマホ依存は、今や子どもたちの間にも広がっている。 親の立場からすると、「スマホを触ってばかりいると、勉強や睡眠にあてる時間が短くなって成績が下がる」と考える人は多いかもしれないが、脳に対する影響が懸念されているのはご存じだろうか。 実際、東北大学加齢医学研究所が、宮城県仙台市教育委員会と共同で行っている調査から、ある驚くべき結果が得られた。その結果について、東北大学の助教である榊浩平氏に取材をした「スマホが学力を『破壊』する、成績不振は勉強不足や寝不足ではなかった新事実」は、大きな反響があった。 『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)では、スマホと学力の関係についてより詳しくまとめられているが、スマホを常用して脳に“ラク”をさせていると、成長期の子どもなら脳発達が大きく損なわれ、成人なら不安・抑うつ傾向が高くなるという。私たちは、スマホとどうつきあっていくべきなのか……最新の研究を通した解決策も提示されている。
子どもの“からだと心”クライシス(著:野井真吾)
前頭葉、自律神経、体温調節、睡眠、覚醒など種々の身体機能の「おかしさ」に加えてスクリーン漬けの生活……こうした現代人の悩みを克服するためのキーワードは、「光・暗やみ・外遊び」「ワクワク・ドキドキ」「よい加減」にあるという。 『子どもの“からだと心”クライシス』(かもがわ出版)の著者である野井真吾氏は、教育生理学、学校保健学、発育発達学、体育学を専門として、子どもの“からだ”にこだわった研究活動を行ってきた。子どものからだと心の発達を、全国の子どもを取り巻く専門家の協力を得て40年以上研究しているNGO団体「子どものからだと心・連絡会議」の議長も務める。 当団体によると、近年の日本の多くの子どもたちは、「自律神経が過剰に反応し、睡眠と覚醒、食事、排せつ等の周期の乱れを示し、落ち着いていられず、いわゆる『よい子』であろうと執拗に努力し続けている」状態。アメリカの精神科医ジュディス・ハーマン氏が著書『心的外傷と回復』で述べている「『虐待を受けている子どもたち』と同じ身体症状を呈していると解釈できる」という。 野井氏に取材した「子どものからだと心がおかしい、大脳『前頭葉』機能の不活発が増えている理由」も大きな反響があったが、本書では子どもの「からだのおかしさ」の現実に触れ、「子ども時代」を輝かせるための議論と取り組みが紹介されている。