学校の課題を解決するヒントに「教育書」厳選10冊 日常とは違った視点で課題を読み解く読書の力
救え!!トイレの若手さん(著:前川智美)
学校現場では、働き方改革、教員のなり手不足、教員の休職や退職など、学校現場では難しい課題が山積している。 とくに慢性的な教員不足は深刻で、若手がチャレンジする機会はもちろん時間をかけて成長することが難しくなっている。若手教員の育成にまで手が回らないのはもとより、辞めてしまうことも珍しくない。 だが、上手に成長を促すことができれば、学校現場の課題解決の第一歩となることは間違いない。その中心を担うのは、やはりミドルリーダー層の中堅教員になるだろう。うまくいけば、ミドルリーダー自身の職能成長にもつながる。 『救え!!トイレの若手さん ー若手教師を支えるミドルリーダーの接し方ー』(東洋館出版社)では、とてもネガティブなマインドをもった架空の若手さんが登場し、その対応を通じて、どのようにすれば若手教員を支え、職能成長を促していけるか、その考え方と方法が紹介されている。
読み書き困難のある子どもたちへの支援: 子どもとICTをつなぐKIKUTAメソッド(著:菊田史子ほか)
学習面や行動面に困難さがあるなど、発達障害の可能性のある小・中学生は8.8%、11人に1人程度在籍している(文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」)。 そうした発達障害の1つに学習障害(Learning disability:以下、LD)がある。LDの子どもたちへの支援を行う「一般社団法人読み書き配慮」代表理事で、LD当事者の母でもある菊田史子氏は、「学習障害の子どもを取り巻く環境は厳しい」と話す。 菊田氏には「学習障害の息子が慶応に合格、母が直面した『合理的配慮』をめぐる過酷な現実」でも詳しく取材をしているが、合理的配慮の提供が義務付けられているにもかかわらず、適切な支援や配慮が受けられないケースがまだまだあるという。 『読み書き困難のある子どもたちへの支援: 子どもとICTをつなぐKIKUTAメソッド』(金子書房)では、読み書き困難を抱えている子どもたちが、ICTを活用して学んでいくためのメソッド(支援プログラム)が具体的な事例を交えて紹介されている。 子どもたち1人ひとりが学びを深め、自身の可能性を認識して人生を切り開いていくために必要な教育や支援とは何か。LDの子を持つ保護者や学校現場で働く教員にぜひ手に取ってほしい1冊だ。