受刑者の「歯科治療」申し立ても治療日は3か月後に…札幌弁護士会が月形刑務所長に早期治療を要望
1か月に約40人を歯科治療...医師の都合で週一度、3時間のみ
この事態を把握した人権擁護委員会が照会したところ、月形刑務所からは以下のような回答が寄せられたとした。 (1)昨年8月29日、申立人から歯科治療を求める書面の提出があり、当初は同年11月24日に申立人の歯科治療を実施する予定だった。ところが同年11月13日に申立人が新型コロナウイルス感染症に感染。11月27日まで新型コロナウイルスの治療に専念する必要があったことから歯の治療を延ばし、新型コロナウイルスの治療後となった同年12月15日に治療を実施した。 (2)月形刑務所では毎週金曜日のみが歯科治療日であるため、1かヶ 月に平均約40名の歯の治療を行っている。治療は複数回要することが多く、複数回の治療が必要な収容者が多数いる場合は、新しく歯科治療を求める収容者が治療を受けるまで数か月を要することになる。その期間は約2~3か月程度である。ただ、緊急の治療を要する場合は優先的に治療しているため、緊急性の有無については刑務所の准看護師の巡回や、内科医師による診察で客観的な情報を判断。それを元に治療の有無を検討している。(今年2月20日付回答) (3)診療時間は歯科医師の都合によって午前か午後のいずれかで実施。午前の場合は9時から正午までの約3時間、午後からの場合は13時から16時までの約3時間を治療時間としている。治療には歯科医師、看護師、レントゲン技師、准看護師の資格を持つ刑務官各1名の計4名が担当。常勤の歯科医師や非常勤の歯科医師がいないため、医師は業務委託先の病院から通っている。1診療日につき1人が順に派遣されており、治療に要する診療台数は1台のみ。 (4)診療の順番は収容者から「治療願い」を出してもらっているが、提出日時の順番で決めている。治療継続が必要となる収容者は、治療状況や歯科医師の判断で順番を決めている。早期治療を要するなど、緊急性が認められない場合はその日の「歯科治療願い」の最終提出者に次ぐ治療となる。(5月21日付回答)