レーシック手術でトラック運転手の仕事を失った…「視力1.2」の眼球でひそかに進行していた"病気の名前"
■眼圧が正確に測れない では、眼科に行っておけば、こんなことにはならなかったのかというと、実はそうでもありません。ポイント2つ目、「眼圧」に関わる問題について解説しましょう。 みなさんは、眼科で、目にプシュっと空気を吹き付けられた経験はないでしょうか? あれは、眼圧といって、目の硬さを測る検査です。一定の空気の圧力でどのぐらい角膜がへこむのかを見ることで、目の圧力を測っているのです。 眼圧が高いと緑内障になりやすいという事がわかっています。ですから、眼圧というのは、緑内障の発見、ひいては治療において非常に重要な役割を果たしているわけです。 ところが、レーシックを受けた目は眼圧を正確に測ることができません。冒頭でお話しした通り、レーシックというのは、角膜を削る手術です。削ると当然膜は薄くなりますから、空気を当てたときに眼球がへこみやすくなります。このため、元に戻る時間が長くなり、測定値としては本来よりも極端に低く出るということが起きるのです。 ■治療の効果がわかりにくい 緑内障を検査する方法はほかにもありますが、一般的な検診では眼圧しか測りません。つまり、眼圧を正確に測れないということは、緑内障の見逃しにつながるのです。 この「眼圧問題」は、当然治療の中でも問題になります。 例えば、目薬を増やしたり、手術の効果を確認したりしたいときには眼圧を見ます。「眼圧18だったのが、16になった。よし、この目薬はきいているな」というような塩梅です。 ところが、レーシック歴がある人であればそう簡単にはいきません。例えば、本当は18なのにもかかわらず、8といった極端に低い数字が出ます。そうなると、本来18から16で効果が出ている治療も、8から7.6というように、数字としてはほぼまったく下がっていないように見えるので、効果があったのかどうかがわからず、治療が手さぐりになってしまうのです。