ザックJの欧州遠征は海外組のラストチャンス
ゴールなしの乾は正念場
ジョーカー役として期待されてきた25歳の乾だが、代表においては11試合に出場して、いまだゴールがない。9月に引き続いて招集された23歳のFW齋藤学(横浜F・マリノス)も、乾同様にドリブル突破を武器とするだけに、今遠征は文字通りの正念場となるだろう。 実際、原技術委員長も齋藤を高く評価している。 「特徴ははっきりしている。流れを変える仕事や、試合を決定づける仕事ができるよね」 これまでの代表戦ではタッチライン際の持ち場を頻繁に離れたプレーが、サイドでのチャンスメークを求めるザッケローニ監督の逆鱗に触れることが多かった。 コンフェデでのプレーが初戦のブラジル代表でのわずか1分にとどまり、その後は招集を見送られた遠因になったとも言えるだろう。 ポジションを争う齋藤は代表で1ゴール、今遠征には招集されなかった工藤もすでに2ゴールをマークしている。ブンデスリーガでのプレーもすでに3シーズン目。外国人特有の長いリーチや激しい当たりに対するアドバンテージを持つ乾だけに、与えられた仕事を確実にこなした上で、ゴールという結果を残さなければ道は開けないだろう。 ヨーロッパ組が長く重用されてきたザックジャパンのメンバー選考基準は、3戦全敗と惨敗を喫したコンフェデを境に明らかに変わった。 国内組だけで編成された東アジアカップで結果を残し、その後もメンバーに定着しているFW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)とDF森重真人(FC東京)の存在が、ザッケローニ監督の考え方の変化を如実に物語っていると言っていい。 山口や大迫、齋藤らの若手が勢いに乗ってその流れに続くのか。あるいは、ザックジャパンにおける経験で一日の長がある細貝やハーフナー、乾が意地を見せて巻き返すのか。
FIFAランク セルビア代表は43位、ベラルーシ代表は80位
最新のFIFAランクでは、日本代表の42位に対してセルビア代表は43位、ベラルーシ代表は80位となっている。特に前者はW杯に初出場した南アフリカ大会でドイツ代表を撃破した実績を持つ。 ともにW杯ヨーロッパ予選での敗退が決まり、若手主体のチームに切り替えてくる可能性もあるが、ホームでの一戦ゆえにモチベーションが極端に低下することはないだろう。 ザッケローニ監督も、日本サッカー協会を通じてこんなコメントを発表した。 「セルビアはバランスに優れ、アグレッシブでダイナミックなサッカーを実践している。W杯予選ではベルギー、クロアチアという強豪と同じグループだったことを忘れてはいけない。ベラルーシはフィジカルが強く、特にホームで戦うときはコンパクトに保ったアグレッシブなサッカーをする傾向が強くなる」 W杯本大会のメンバー入りをかけた、待ったなしのガチンコ勝負が始まる。 (文責・藤江直人/論スポ、アスリートジャーナル)