教育インフルエンサー「じゅそうけん」が語る中学受験で“やってはいけない”受験校選び
もうひとつは、今の親世代が就職氷河期を経験した世代であること。就活で苦労されている方が多いので、有名大学の学歴や難関国家資格を身に付けさせようと、子供には早めに安定したルートに乗せておきたいという思いがあるのでしょう。
でも、中学受験をして入学する中高一貫校は、子供が6年間毎日過ごす場所です。だからこそ、「子供の人生を本気で考えた」という言葉を入れることで、前のめりになっている親御さんたちに「親主導ではなく、ちゃんと子供自身が主体となって決めた方が良いんじゃないか」というメッセージを伝えたいと思いました。
--受験に前のめりな家庭に特徴的な傾向はありますか。
夫婦ともに年収700万円を超えているパワーカップルのご家庭が多いですね。そういう人たちは、ざっくりと2パターンに分かれています。ひとつは、地方の公立高校から大学進学を機に上京し、そのまま就職、結婚してパワーカップルになり、タワーマンションに住んで子供を中学受験に向かわせる層。もうひとつは、もともと首都圏在住で、自身が中学受験をした経験から子供も中高一貫校にと考える層。ちなみに僕のフォロワーは半々くらいです。
『息が詰まるようなこの場所で』や『タワマンに住んで後悔してる』といった、いわゆる「タワマン小説」では、上層階と下層階における階級や序列だけでなく、中学受験のリアルもつぶさに描かれています。著者から直接聞いたのですが、とても丁寧に取材を重ねて書いたとのことで、決してフィクションではない、と。つまり、首都圏や関西の一部には、高学歴で大企業に勤めて年収も高く、さらに子供も名門私立に通って□みたいなハイスペックなステイタスを求める風潮は現実にあるんですよね。
実際、東京の芝浦や豊洲といったタワーマンションが林立する湾岸エリアは、小学校の校舎を増設するほどファミリー層が激増していると聞きます。当然、塾もどんどん増えていますし、こうした人の流れに目をつけた学校が、感度の高いパワーカップルに向けて「共学化」「国際化」といったキーワードを並べてこのエリアに進出してきているというのも戦略として頷ける話です。