東京五輪サッカー「死の組」を森保Jは勝ち抜くことができるのか…カギを握る「OA枠」人選
日本の2列目には久保建英(ヘタフェ)や堂安律(ビーレフェルト)、三笘薫(川崎フロンターレ)らのタレントが集う。ボールキープ術に長け、時間を作れる大迫は彼らの攻撃力をさらに引き出せるし、出場資格があったロンドン五輪の代表入りを逃している大迫本人にも期する思いがある。 ボランチとして代役のきかない存在感を放つ28歳の遠藤航(シュツットガルト)もチームに安定感を、周囲には安心感を与える大黒柱として、森保監督が掲げる条件を完璧に満たす。U-23代表のキャプテンとして、前回リオデジャネイロ五輪を戦った経験もチームにはプラスに働く。 終盤戦を迎えたブンデスリーガ1部で、デュエルにおける勝利が「418」を数える遠藤はリーグ全体で堂々の1位を快走している。遠藤自身も絶対的な武器だと自負する1対1での強さと、意識して取り組んでいる縦へ速いパスをつけるプレーは攻守両面をパワーアップさせる。 センターラインで考えていけばフル代表のキャプテンで、東京五輪世代の冨安健洋(ボローニャ)とセンターバックコンビを組む32歳の吉田麻也(サンプドリア)が浮上してくる。 守備の国イタリアで円熟味を増したプレーを見せている吉田は、19歳で出場した2008年の北京五輪でグループリーグ敗退を、オーバーエイジとして招集され、キャプテンを務めたロンドン五輪では準決勝でメキシコに、メダルをかけた3位決定戦では韓国代表に続けて負けた。五輪で勝つ喜びや負けた悔しさを含めたすべてを知る、プレーだけでなくメンタル面でも頼れる兄貴分となる。 ワールドカップなどFIFAが主催する国際大会の「23」枠と異なり、五輪の代表選手枠は「18」と5人も少ない。そこへオーバーエイジ枠をフル活用すれば、本来の東京五輪世代は15人しか参加できない計算となる。それでも森保監督は、チームを立ち上げた2017年12月から東京五輪世代の選手たちへ言い続けてきた言葉を、オンライン対応のなかでもあらためて繰り返した。 「オーバーエイジを含めて18人の選考になると、東京五輪世代の選手たちには話してきた。オーバーエイジに関しては、現段階でははっきりと名前を言うことはできない。チームの状況を見ながら、最終的に決めていきたい」 南アフリカとの初戦まで、組み合わせ抽選から一夜明けた22日でちょうど3ヵ月となった。日本が獲得した唯一のメダル、1968年のメキシコ五輪の銅メダルを超える戦いへ。対戦相手のさらに詳細な情報を収集し、オーバーエイジを含めたヨーロッパ組の所属クラブとのコミュニケーションもより密に取りながら、まずは「死のグループ」を突破するためのベストのシナリオを練り上げていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)