冬はとくに意識すべき5つの栄養 更年期世代が知っておきたい「食からの冷え対策」
本格的な寒さが続いています。更年期世代の女性は、温かい服装をしていても、手や足先の冷えが気になることがあるかもしれません。また、更年期に入ると、以前は寒いと感じなかった温度でも冷えを感じるようになる場合が。更年期世代が知っておきたい「食からの冷え対策」として、意識したい栄養素や食習慣を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。 【画像】「ちょっと手を加えるだけで見違える」 真似したい朝ごはんメニューリスト ◇ ◇ ◇
冷え対策のために取り入れたい食習慣
女性の場合、一般的に熱を生み出す筋肉の量が男性より少ないため、冷えを感じやすいといわれています。とくに更年期の女性は、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れ、加齢による筋肉量の低下もあることから、血行不良になったり、体温調節がうまくいかなかったりするものです。その結果、以前よりも寒く感じたり、手足など末端の冷えが気になったりすることがあるでしょう。 冷え対策には、適度な運動や良質な睡眠が挙げられますが、それらに加えて、日々の食習慣として心がけたいことが3つあります。 1つ目は、朝食を取ることです。起床後に何も食べずにいると体温が上がらず、血流も悪いままで、冷えを感じやすくなります。朝に食欲が湧かない人、朝食抜きの習慣がある人でも、温めたミルクや豆乳、みそ汁など何か温かい飲み物を口にして、体温を上げるようにしてください。 2つ目は、よく噛むことです。よく噛んで食べると交感神経が刺激され、食後の代謝が高まり、体も温まりやすくなります。加えて、よく噛むことにより食事に時間がかかるため、満腹中枢が働く前に食事が済んでしまうことを避けられ、過食も防げるでしょう。 3つ目は、薬味と呼ばれる食品を取り入れることです。古くから親しまれているショウガや長ネギ、ニラ、ニンニクなどの薬味には硫化アリル(アリシン)が含まれており、血流促進の効果があることがわかっています。積極的に汁物や炒め物などに加えると良いでしょう。
冷え対策として意識したい栄養成分とは
多種多様な食品からさまざまな栄養素を摂取する、バランスの良い食事が前提ですが、寒い季節の冷え対策として次の5つの栄養素を意識して、日々の献立を考えてみましょう。 ○たんぱく質 たんぱく質は、エネルギー産生栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)のなかで最も熱エネルギーを発生させ、体を温める働きをします。また、筋肉や骨、肌、髪などあらゆる細胞の材料になる大事な栄養素です。肉類や魚介類のほか、豆腐や納豆など大豆製品に多く含まれます。とくに鶏肉、牛肉や豚肉であれば脂身の少ないヒレなどの部位を選ぶと良いでしょう。 ○ビタミンB1 ビタミンB1は、糖質の代謝に必要な補酵素として効率的にエネルギーを生み出し、体を温める作用があります。代表的な食品として挙げられるのは、豚肉の赤身やウナギ、タラコなどです。米の胚芽部分にも多く含まれているため、冷えが気になる場合はぬか漬けを食べたり、毎日食べる精白米を胚芽精米や玄米にしてみましょう。 ○ビタミンE ビタミンEは、とくに末梢血管の血行を良くしてくれる作用が期待できます。近年は、血行促進効果を謳うハンドクリームやかかとクリームなどにも配合されている成分です。アーモンドや落花生などのナッツ類、かぼちゃ、アボカドに多く含まれています。 ○鉄 鉄は、血液中のヘモグロビンを構成する主な成分。全身に酸素を輸送し、貧血予防に不可欠です。血行を良くして体を温めていきましょう。レバー、アサリやシジミなどの貝類、魚の血合い肉など動物性食品に豊富なヘム鉄は、吸収率が良いことで知られています。 ○ビタミンC ビタミンCは、冷え対策の観点でいえば、血行を良くする鉄の吸収を助ける働きが期待できるでしょう。野菜や果物に多く含まれています。肉類や魚介類の料理にレモン汁をかけるなど、鉄を含む食品と一緒にとると効果的です。
Hint-Pot編集部