2029年に小惑星「アポフィス」が地球に衝突? 3年後に判明すると研究者
米ニューヨークのエンパイアステートビルと同じくらいの大きさの小惑星「アポフィス」が、2029年に地球に衝突する可能性がゼロではないことを示唆する新しいシミュレーション結果が先ごろ発表された。このサイズの小惑星がもしも実際に衝突すれば、大都市が丸ごと1つ消し飛ぶと考えられている。 【画像】2029年4月13日に地球に最接近する小惑星アポフィスの軌道予想図 小惑星(99942)アポフィスは直径約340mで、太陽を約324日周期で公転している。2004年に発見された当時、2029年、2036年、2068年のいずれかに地球に衝突する危険性があると指摘されたため、エジプト神話における闇と混沌の化身アペプ(アポピス)にちなんで命名された。天文学者らは当初、地球に衝突する確率を2.7%と見積もっていた。 その後、2021年に米航空宇宙局(NASA)がより正確な軌道分析を行い、衝突のおそれはないとの判断を下した。しかし、新たな研究により、少なくとも部分的には当初の懸念が復活した格好だ。 ■アポフィスの軌道が変わる可能性 現在の軌道のままなら、アポフィスは地球に衝突することはなく、2029年4月13日に地球から約3万2000km以内まで最接近するとみられている。このサイズの小惑星がここまで地球に接近し、静止軌道の内側を通過するのは観測史上初めてとなる。 しかし、最新のシミュレーションによると、アポフィスに別の小天体が衝突した場合、軌道が変化する可能性がごくわずかながら存在するという。仮にそうなれば、地球に壊滅的な被害が及ぶかもしれない。 オンライン科学誌Planetary Science Journalに掲載された論文では、地球に頻繁に落下する隕石のような小天体がアポフィスに衝突し、軌道を変える可能性について研究した。筆頭著者であるカナダ・ウェスタンオンタリオ大学のポール・ワイガートは、「未発見の小天体がアポフィスと衝突し、危険な結果をもたらす可能性は極めて低い」と結論づけている。