中国のCATLとは何者?「最強の電池メーカー」の事業・強み・市場シェアを解説
電気自動車(EV)やハイブリッド車の増加に伴い、車載用リチウムイオン電池の市場規模は急激に拡大している。2021年には前年比約120%の成長を見せ、2030年には2021年の約3倍の規模になると予想されている。そんな車載電池市場で躍進するのが、2011年に創業した中国の電池メーカーであるCATL(寧徳時代新能源科技)だ。2023年に実施された調査によると、世界シェアの約37%を占め、2位以下を大きく突き放している。本記事では、CATLはどのような強みを持つ企業なのか、なぜ短期間で世界シェアトップに上り詰めることができたのか、日本企業との関係や今後の展望についても解説する。 【詳細な図や写真】リチウムイオン電池メーカーの市場シェア(出典:Statista Japan SNE Research; CnEVPost(調査年:2023、公開年月:2024年2月)をもとに編集部作成)
CATL(寧徳時代新能源科技)とは
CATL(Contemporary Amperex Technology Co., Ltd)とは、車載電池市場で世界トップシェアの中国の電池メーカーである。主に、EVやエネルギー貯蔵システム(ESS)に利用する電池、バッテリーマネジメントシステム(BMS)の開発・製造・販売を行っている。 ライバル企業には、中国のBYD、韓国のLGエネルギーソリューション、日本のパナソニックなどが挙げられるが、車載電池市場ではCATLが高いシェアを誇る。 創業者チームが1999年に設立したリチウムイオン電池メーカー・ATL(Amperex Technology Co., Ltd)に、「Contemporary(時代)」をプラスしてCATLと名付けられた。正式名称は「寧徳時代新能源科技」だ。 福建省寧徳市に本社を構え、中国だけでなくドイツやハンガリーなどに研究開発や生産の拠点を置いている。2018年には横浜に日本初となる拠点が誕生している。日本拠点では主に、CATLが提携する日本の自動車メーカー向けのカスタマーサービスを提供している。
CATLの強み
CATLは、中国でEVに対する補助金の支給が始まった2010年の翌年に創業し、中国のEV化の波に乗り、2017年には日本を代表するリチウムイオン電池メーカーのパナソニックを抜いて、EV用車載電池の出荷量世界No.1に上り詰めた。 その理由としては、「CATLが世界的リチウムイオン電池メーカー・ATLの技術をベースとした企業であること」「中国国内で原材料を確保できること」「研究開発に莫大な資金を投じたこと」などが挙げられる。 また、中国国内にEVメーカーが多く、車載用リチウム電池のニーズが高かったことも躍進の一端を担ったと言えるだろう。