中国のCATLとは何者?「最強の電池メーカー」の事業・強み・市場シェアを解説
CATLの歴史
CATLは、大規模かつ大胆な経営戦略で急激な成長を遂げてきた。創業の翌年には世界的自動車メーカーのBMWと戦略的パートナーシップを締結し、2013年には世界最大の商用車メーカーTutong社向けのEV用電池を開発。2022年には、EV電池搭載量において6年連続世界一を達成した。 2023年8月には、4C急速充電が可能なリン酸鉄リチウム(LFP)電池「神行(Shenxing)」を発表している。なお、1Cとは1時間で電池の理論容量をフル充電するスピードのことだ。神行は4C対応のため、15分あれば全容量の充電が可能である。 さらに2024年には、リチウムイオン電池を用いた超長寿命の蓄電システム「天恒(Tianheng)」の開発を発表した。CATLの実験によれば、天恒蓄電システムの電池セルは最大1万5000回の充放電が可能であり、劣化によるシステムの容量減少は5年間は生じないとされる。 2018年、深圳証券取引所に上場したCATLの株価は2021年5月31日に過去最高となる1株429元を記録し、時価総額が初めて1兆元(当時のレートで約17兆1,700億円)の大台に乗った。世界的には電気自動車産業の業況は鈍化しているが、以後もCATLの株価は上昇傾向にある。
CATLは?リチウムイオン電池市場トップ10社を解説
CATLは、世界市場においてどのポジションにいるのだろうか。CATLはリチウムイオン電池メーカーの世界市場シェア(2023年)のうち、約37%を占める。2位は、同じく中国企業のBYDだ。電池メーカーとして創業し、ITエレクトロニクス・電気自動車・新エネルギー・モノレールの4つをメイン事業として展開している。 3位は、韓国のLGエネルギーソリューションである。LG化学からリチウムイオン電池事業を分社化した企業で、幅広い分野にエネルギーソリューションを提供している。これらトップ3で世界市場シェアの約2/3を占めていることから、リチウムイオン電池市場は成長分野ではあるものの、参入企業が多くはないことがうかがわれる。 なおNIKKEI Mobilityの記事(世界EV電池、パナHDが6位転落 1~9月テスラ向け不振.NIKKEI Mobility.2024年11月15日)によると、2023年時点のランキングでは4位に付けているパナソニックだが、直近の2024年の市場シェアを見ると、CALB、SK Onに抜かれ6位に転落している。 なお、リチウムイオン電池の需要は、EVの販売台数の増加に比例して伸びていると言っても過言ではない。車載用リチウムイオン電池の生産量が増加し、結果的にリチウムイオン電池全体の生産量も増加しているようだ。 矢野経済研究所の発表によれば、車載用リチウムイオン電池の世界市場は右肩上がりで増加している。2030年には容量ベースで116万3040MWhに成長し、2021年の約3倍の規模となることが予測される。 なお、生産台数が多いのはEVだが、PHEV(プラグインハイブリッド車)の伸び率の高さにも注目したい。2021年には前年比225.6%と急激な伸びを見せ、2030年には車載用リチウムイオン電池全体の12%強を占めると予想されている。