中国のCATLとは何者?「最強の電池メーカー」の事業・強み・市場シェアを解説
ホンダ、ダイハツなど…CATLと日本企業の連携まとめ
CATLの成長は、日本企業とも無関係ではない。CATLが日本企業との間で構築してきた関係について解説する。 ■2020年:ホンダとの戦略的提携に合意 2020年、CATLはホンダと、EVなどの新エネルギー車用電池に関する包括的戦略アライアンス契約を締結した。ホンダは第三者割当増資を引き受け、CATLの株式の約1%を取得することになる。 2022年には、ホンダの中国でのEV販売拡大に向け、CATLからEV用電池の安定調達を実現する予定。また、2024年から2030年までの7年間で、合計123GWh分のEV用電池をCATLから調達することを発表した。将来的には電池調達だけでなく、リサイクルとリユースのスキーム構築も視野に入れている。 ■2022年:ダイハツ工業と戦略的協力に関するMOUを合意 2022年、CATLはダイハツ工業への電池供給と電池技術に関する戦略的協力のMOUを合意した。これにより、ダイハツ工業は日本国内でのeモビリティの推進が可能になる。 ダイハツ工業は、小型車を得意とする自動車メーカーだ。CATLとダイハツ工業が協力し、BMSなどの高度な電池技術を実現することで、小型EV自動車におけるシェア拡大が期待される。 また、ダイハツ工業との戦略的協力は、日本国内だけでなくCATLのグローバル展開にとっても大きな一歩になる。日本や東南アジアなどの市場でさまざまな可能性を模索できるようになり、新エネルギー自動車への移行やカーボンニュートラルの実現にもつながるだろう。
今後のCATLの成長を占う「2つの注目テーマ」
EVやリチウムイオン電池は世界的にニーズが高まっているが、必ずしもCATLの成長が約束されているわけではない。CATLの今後の展望について、中国国内と海外に分けて解説する。 (1)中国でのシェア拡大が課題に 中国政府は2010年以降実施してきた新エネルギー車の普及促進のための補助金支給を、2022年末で打ち切った。その影響もあり、CATLの2023年第4四半期(10~12月)決算は、2022年第2四半期以来1年半ぶりの減益となった。 また、中国自動車市場の需要減退や、PHV(PHEV:プラグインハイブリッド車)の人気向上なども、中国国内での減益の要因と考えられる。中国の新エネルギー車市場では、PHVは電池切れで走行不能となる不安がないことから人気が高まっている。PHVは同クラスのEVと比べ、わずかな容量の電池を搭載するだけで良いため、PHVの需要が高まるとリチウムイオン電池の容量ベースでの必要量が低下するのだ。 ただし、2024年に入ってからで走行不能となる不安がないCATLは市場シェアを回復しつつあり、国内市場シェアは安定して50%を超えるようになった。今後も中国の車載電池業界では、性能向上やコスト競争強化を巡り激しい競争が続くと考えられる。また、電池だけでなく天恒などの蓄電システムの開発によっても、国内シェアの頭打ちを打開できるかもしれない。 (2)海外でのシェアは伸びを見せる CATLのヨーロッパ市場における2023年1~8月のシェアは34.9%と、前年同期と比べ8.1ポイント上昇した。また、2024年の中国国外での市場シェアは、韓国のLGエナジーソリューションを初めて上回る伸びを見せている。 カーボンニュートラルや地球温暖化対策に対する世界的な意識の高まりの中、今後もクリーンエネルギーの象徴であるリチウムイオン電池のニーズは上昇すると予想される。世界シェアトップのCATLの動向から、自動車産業やエネルギー産業の近い将来の傾向がうかがえる。