阪神はV奪還へ「現在地」把握せよ FA有資格者の動向踏まえた戦力整備が来季を左右する 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
ただ、戦いはこの先も続いていきます。Bクラスをさまよい、今季もレギュラーシーズンは3位に終わっていたDeNAが最後に笑ったように、前を向いてチームの至らないところを改善していけば必ず光明が差してくると思います。チームの「現在地」をよく見極めて、足らざるところを埋めて、長所をより生かす戦力整備が今オフ、できるか否かが来季の成績を決めていくでしょう。
■FA有資格者に大山ら
日本シリーズの終了はストーブリーグの始まりの合図でもあります。今年は5日からFA権行使申請期間に入り、14日の宣言選手公示を経て、15日に交渉解禁となり、各球団のFA有資格者の動向が注目されます。
阪神では4番・大山悠輔内野手の動向が注目されています。昨季の契約更改では球団側が示した複数年契約を蹴り、単年の年俸2億8千万円(推定)で契約。日本一に輝いた直後の〝ご祝儀相場〟で複数年契約を蹴った理由はなにか? 普通に考えれば一波乱ありそうです。阪神では大山以外にも原口や坂本、糸原らが国内FA有資格者です。梅野は海外FA資格を有しています。
藤川監督は監督就任会見で「評価というのは今まで頑張ってきた個人の評価なので。『このチームに尽くすしかない』というふうな感情にはなってほしくない。思い切り、とりあえず自分の権利を全うしてみたらって(と思う)」と話しています。
FA宣言を容認し、他球団の評価が聞きたければ引き止めない…という意味に受け取れます。しかし、実際は主力が抜ければ大きな戦力ダウンです。最悪の状況になったとき、抜けたポジション(打順や守備位置)をどのように埋め、チームとしての長所を伸ばしていくのか…。簡単なことではありません。
これは新監督だけの問題ではなく、むしろ球団本部制を敷くフロント幹部の大きな課題です。DeNAに最後の最後で惨敗し、痛恨の敗者となった「現在地」をしっかりと把握して、ストーブリーグに臨むことを求めたいですね。
【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。