【令和の岩倉使節団】がアメリカで見たものとは何か?
LCCで安く行くことができる米国
水代 話題は変わりますが、渡米初日に到着したのがサンノゼです。サンフランシスコから南に、自動車で1時間くらいの場所です。今回、ZIPAIR(ジップエアー)というJAL(日本航空)の子会社のLCCを使ったのですが、片道が手荷物込みで約5万円でした。これは衝撃の価格でしたね。 大城 当然、エコノミーでしたが、想像していた以上に快適でしたね。ひたすら本を読んだり、スマホで映画を見たり、途中寝たりして過ごしていたらあっという間でした。 水代 翌日は、パロアルトに行きましたね。 大城 まず、グーグル本社のあるカリフォルニア州マウンテンビュー市で、陸空両用で、本物の「空飛ぶ車」の実現を目指し、日夜開発を続けているスタートアップの「ASKA」を取材しました。同社の会長兼最高執行責任者(COO)である日本人女性のカプリンスキー真紀さんのお話は本当に面白かったです。水代さんも感銘を受けていましたね。 水代 記事にもありますが、カプリンスキーさんの「シリコンバレーにはすごい人がたくさんいるけど、そこに行くことだけを目的にすべきではない。起業家になることはあくまでも手段で、自分たちは何を成し遂げたいのかという大きな志が先にあるべき」という言葉は、同じ経営者として、とても心に沁みましたね。 参考記事:『陸空両用の「空飛ぶ車」 社会を変える「ASKA」の挑戦 実用化を見据えた日本での活用方法とは?』 大城 本当にそうでした。「シリコンバレーに行けばなんとかなる!」ではなく、まずは、「自分たちは何をなすべきか、企業活動を通じて、どういう社会をつくりたいのか」という大きなビジョンを掲げ、取り組むべきということが大事ですね。私もカプリンスキーさんの言葉から、改めてそのことを学ぶことができました。 また、ASKAには、かつて「MRJ」の開発に携わっていた元三菱重工出身の技術者が4人もいました。これは本当に驚きましたね。しかも、彼らは本当に楽しそうに働いていて、笑顔がまぶしかった。あれは忘れられません。 水代 いい顔してましたよね~。 大城 そのうえで、シリコンバレーという場所で何をするのか、ということですが、残念ながら、現状では、インド、中国、韓国などの国に比べて、日本の存在感は薄いと言わざるを得ません。もちろん、皆さん、頑張っている。けれども、インド、中国、韓国では、すでに人材の採用から資金調達まで、自国のネットワークで完結する「エコシステム」を持っている。日本もその「エコシステム」を構築できるかどうかが今後のカギになりそうです。 また、日本の金融機関がリスクを取って融資するかどうかという点も一つの大きな壁です。今回、水代さんのお知り合いで、ニューヨークで複数のレストランを展開している笠木恵介さんのお店で、ジンギスカンを頂いたのですが、本当に美味しかった。ただ、笠木さんによると、ニューヨークでも、韓国系などの金融機関に比べて、日本の金融機関の動きは鈍く、日本人が出店するというのに融資をしてくれず、やむを得ず韓国系の金融機関にお願いするケースもあるという話を聞き、ちょっと残念に思いました。日本の金融機関も頑張ってほしいです。