「直列8気筒」が生んだエレガントな自動車 30選 後編 戦前戦後の高性能モデル
ナッシュ・アンバサダー(1930年)
それまで直6を搭載していたアンバサダー(Ambassador)は、1930年にナッシュ(Nash)初の直8を導入する。この4.9Lオーバーヘッドバルブ・ユニットは、1気筒あたり2つのスパークプラグ(燃料と空気の混合気をより効率的に燃焼させるため)を持つという点で、世界でもほとんど類を見ないものであった。そのため、一時的にツインイグニッションと呼ばれることもあった。 ナッシュはその後も、より低価格の3.7Lフラットヘッドをはじめとする直8を数種類生産したが、第二次世界大戦後はこのレイアウトから身を引いた。
アルファ・ロメオ8C(1931年)
直8のアルファは1920年代のレースで大成功を収めたが、市販車に導入されたのは1931年のことだ。ル・マン24時間レースで4度の優勝を飾った8Cは、ツインオーバーヘッドカムシャフトやスーパーチャージャーを備えた先進的な2.3Lユニットを搭載している。 排気量は3.8Lまで拡大可能だったが、公道走行用としては2.9Lを超えることはなく、1939年までこの形態で販売されていた。
ビュイック(1931年)
ビュイックは1931年モデルにオーバーヘッドバルブ直列8気筒を導入し、シリーズ50(写真)をはじめすべての車種に展開した。用途によって必要とされる出力が異なり、したがって排気量も異なる。3.6Lから5.6Lまで幅広い排気量が用意された。 ビュイック初のV型8気筒エンジン(ファイヤーボール、別名ネイルヘッド)は1953年に登場し、技術的には直列8気筒に取って代わるものとなった。実際にはビュイック・スーパーに4.3Lユニットが搭載され、その後1年間は生き残った。
レオ・ロワイヤル(1931年)
「最も素晴らしいレオ(Reo)」と評されたロワイヤル(Royale)は、5.8L直列8気筒エンジンを搭載し、2種類のホイールベースと複数のボディスタイルが用意された。1931年から1934年まで販売され、レオとしては唯一、クラシックカー・クラブ・オブ・アメリカ(CCCA)によってフル・クラシックカーに認められている。 印象的なモデルであったものの、販売にはほとんど貢献できず、レオは1936年に乗用車の生産を中止し、大型トラックの生産に専念することになった。