火災保険の「破損・汚損」補償は必要? 補償内容や、保険金が下りるケース・下りないケースを紹介
個人向け火災保険の補償の中でも「破損・汚損」については、具体的にどんなことを補償してくれるのかが分からないという方も多い補償です。そこで、この記事では破損・汚損がどんな補償か、どのようなケースで保険金を受け取れるのかを見ていきたいと思います。(ファイナンシャルプランナー・平野雅章) 2024年、火災保険料の値上げ幅が最も高いと予想される都道府県は?
火災保険の「破損・汚損」とはどんな補償?
個人向け火災保険は、現在最長5年契約ですが、2015年までは最長36年の長期契約ができたということもあり、契約途中で補償内容の見直しをする人はほとんどいない保険です。そのため、加入してから時間がたつと、説明を受けたつもりでも補償内容を忘れてしまいます。 特に内容を忘れがちなのが「破損・汚損」の補償です。他の補償(火災補償、水災補償など)は名称から想像もつきやすいですが、破損・汚損は具体的にどんな内容を補償してくれるのか、よく分からないものです。 破損・汚損は「不測かつ突発的な事故による損害」を補償 多くの保険会社では火災保険の基本補償として、以下の補償を組み合わせたプランを用意しています。 ・火災、落雷、破裂・爆発 ・風災・ひょう災・雪災 ・水災 ・建物外部からの物体の落下、飛来、衝突 ・給排水設備の事故等による水濡れ ・盗難 ・騒じょう※1、労働争議に伴う暴力・破壊行為 ※1:集団によって起こされた騒ぎや秩序の乱れ そして、破損・汚損は「上記以外の不測かつ突発的な事故による損害を補償する」と説明されていますが、実のところ何を補償するのか、分かりにくい内容になっています。
破損・汚損補償の保険金受け取り事例
破損・汚損の補償内容を理解するには、多くの保険金受け取り例を知ることが最も近道だと思います。 火災保険の補償対象は「建物」と「家財」とに分かれていますが、それぞれ、破損・汚損補償が適用されたケースを見てみましょう。 【建物】保険金受け取り例1.物を運んでいる時にバランスを崩してドアにぶつかり、ドアが破損した 2.子どもが家の中でボール遊びをしていて窓ガラスを割ってしまった 3.陶器製の洗面台に硬いものを落として割れてしまった 4.窓ガラスが直射日光の熱の影響でひび割れした 【家財】保険金受け取り例5.子どもが誤って液晶テレビに物をぶつけてしまい、画面が破損してしまった 6.コーヒーを誤ってこぼして、家電が壊れてしまった 7.椅子を運んでいる時に転んでしまい、椅子が壊れてしまった また、損保ジャパンによると「自宅で自動掃除機がキッチンの引き出しに当たり引き出しが破損した(建物)」という場合の支払い事例もあるそうです。 つまり、火災や雪災、水災といった自然災害に該当しない、「不測かつ突発的な事故による損害」が破損・汚損の対象なのです。想像している以上に補償範囲が広いと思われたのではないでしょうか。 【コラム1】意外と多い、窓ガラスの"熱割れ" ちなみに、4の事例は「熱割れ」と言われ、窓ガラスに直射日光が当たりガラス温度が急激に上昇、周辺部分との温度差が生じたことにより、窓ガラスのささいな傷や弱い部分から割れてしまう現象です。私のお客様の中にも、ときどき窓割れに見舞われる人がいます。 マンションでは窓ガラスは共用部分のため個人向け火災保険の補償対象外ですが、一戸建てでは補償の対象になります。熱割れも破損・汚損の補償対象になりますが、大手メーカーの窓ガラスは通常10年間の保証がついているため、保証期間内であれば免責金額がある破損・汚損補償よりメーカー保証の利用を優先した方がいい可能性が高いです。